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解説は、日本スペースガード協会安藤さん問題の「次のうち、一番明るい星はどれか。」で、正解は―3等級でした。地球から見た星の明るさは等級で表します。古代ギリシャの天文学者ヒッパルコスが肉眼で見える星を明るい順に1等星から6等星と決めたのが始まりで、数字が大きくなると暗い星を表します。そしてイギリスの天文学者ハーシェル親子とドイツの天文学者ポグソンによって、星の明るさと等級の関係が調べられ、1等星と6等星では平均の明るさが約100倍違うことがわかり、明るさの尺度である等級は、1等級の差が約2.5倍の明るさの差に相当するとして細かく表せるようになりました。全天で最も明るい星を1等星と呼びますが、皆さんいくつくらいご存知でしょうか。春にはうしかい座のアークトゥルス夏にはこと座のベガ秋にはみなみのうお座のフォーマルハウトそして冬の夜空に輝くおおいぬ座のシリウスなどがあります。1等星の数は全天で21天体、1等星から6等星までの星の数は全部で約8600個あります。ただし、これは全天の数であり、地平線より上だとその半分、さらに地平線すれすれの星はみえないと考えると、だいたい3000個ぐらいになります。暗い星は肉眼では一般的に6等星までしか見えませんが、双眼鏡や望遠鏡などを使用することでさらにくらい星まで観察することができます。さて、これらの1等星ですが実際にはすべて同じ明るさではありません。例えば1等星の中でも一番明るいと知られている、シリウスは見かけの等級は-1.5等ですが、こと座のベガは0等でシリウスの方が明るい星となります。シリウスは地球から8.6光年の距離にあり、ベガは地球から25光年の距離にあります。つまりベガの方が地球から離れた位置にいることになります。星の明るさは、距離の2乗に反比例することから地球から近い距離のシリウスの方が明るく見えてしまうことが考えられます。そこで、星を地球から32.6光年の距離に置いた時の明るさで比べてみると、シリウスは1.4等、ベガは0.6等とベガの方が明るいということが分かります。このようにすべての星を地球から32.6光年の距離のところにおいた時の明るさを真の明るさとして、天文学では絶対等級と呼び絶対的な明るさの指標にしています。このような星たちを観察していると、明るさの違いだけでなく色の違いがあることに気づくと思います。星の色は星の表面温度を反映したもので、温度が高いほど青白く、温度が低いほど赤っぽい輝きとして見えます。たとえば、さそり座のアンタレスのように赤い色をした星から、ぎょしゃ座のカペラのように黄色い色をした星、シリウスやスピカのように白い色をした星があります。実際の星の温度は赤い色をしたアンタレスの表面温度=約2500℃黄色い色をしたカペラの表面温度=約6000℃青白く輝くスピカの表面温度=約12000℃もっとも身近な星である太陽の表面温度=約6000℃であるため、黄色い色をした星といえます。地球上からは、暗すぎて色が分からない星も天文学の研究の一つである光をプリズムなどを通して色ごとにわける分光という方法で調べると星の大気の温度、星を作っている元素がどのようなもので、どれくらい含まれているかなど、いわば星の個性をあつめるような研究で調べることができます。解説は、日本スペースガード協会安藤さんでした。
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