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今回の解説は、ライフパーク倉敷科学センター三島さんです。問題「天の川銀河には何個ぐらいの恒星、つまり星があるか。」でしたが、正解は、2000億個でした。天の川銀河について詳しく解説をしていきます。我々は、太陽系が属する銀河・天の川銀河を内側から眺めて夜空を横切る淡い光の帯「天の川」として観測しています。太古の人々は雲のように見えるその存在を、何千億の星々が重なり合った存在であることは知る由もありませんでした。天の川が星の集団であるということを明らかにしたのは、今から400年以上前のイタリアの科学者・ガリレオ・ガリレイです。彼は、自作の望遠鏡を天の川に向け、天の川が無数の星の集まりであることを発見しました。天文学者は天の川の星を完璧に数えると、この宇宙の形や大きさがわかると考えました。ガリレオ以降の200年間、天の川の研究は当時の最先端のテーマだったのです。18世紀、イギリスの天文学者・ウィリアム・ハーシェルは、夜空の星の数をくまなく調べ上げて我々の太陽系は、凸レンズのような形をしている星の集団の中にあることを初めて示しました。現代に通じる天の川銀河の姿を明らかにした、最初の研究成果です。しかし、当時の観測技術では、確認できる星の明るさには限界があってハーシェルは天の川銀河という星の大集団の、ごく一部しか観測できていなかったことが後々、明らかになります。ハーシェルが見積もった天の川銀河の大きさは、6千光年。実際の天の川銀河の直径は、それより20倍も大きく10万光年を超えることがわかっています。18世紀、望遠鏡の性能が上がってくると、星雲と呼ばれる星々の間で見つかる淡い雲のような天体の中に、ガスの雲のような種類のものと、渦を巻いたような整った姿をしているものがあることが分かり始めました。のちに銀河と呼ばれる後者の種類の星雲が星の大集団であることがわかるとこの天体の正体がなにものであるかという議論が活発化していきます。おおむね200年以上前の天文学は、天の川銀河という星の集団全体が宇宙そのものであって、すべての天体は、この中に浮かんでいる存在であると考察されていました。星の大集団の中に、星の大集団が浮かんでいるという姿に違和感を感じる天文学者も少なくなかったと思われます。そして、20世紀に入り、写真によって天体の明るさを正確に計測したり分光と呼ばれる天体の光の特徴を詳しく調べる技術が確立されるとこうした天体のおおよその距離が測れるようになってきました。得られた銀河までの距離は、天の川銀河の直径よりはるかに大きいつまり、すべての銀河は天の川銀河の外に存在していることが明らかになりました。この宇宙には銀河と呼ばれる星の大集団が無数に浮かんでいて我々の太陽系を含む銀河も、そうした銀河のひとつに過ぎない。人類にとっての宇宙のサイズは、このとき、一気に広がったのです。今ではよく知られているこうした現代的な宇宙観つまり宇宙の本当の形を理解できるようになってから人類はわずか100年程度の歴史しか持っていないというわけです。天の川銀河に最も近いおとなりの銀河は、有名なアンドロメダ銀河。距離は230万光年。光の速さでも230万年かかる距離です。そして、果てしなく広い宇宙の広がりの中には数兆個の銀河が存在していると推定されています。銀河を詳しく知ると、壮大な宇宙のロマンを感じることができますね。解説は、ライフパーク倉敷科学センター三島さんでした。
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