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ソラジオトークfrom OKAYAMAへようこそ星空を守る人国立天文台平松です!今回のテーマ、「最近急激に増えて天文学者を悩ませているものは」についてでした。私は、国立天文台 天文情報センター周波数資源保護室に所属する天文学者です。専門は星形成・電波天文学で、現在は「天文学の観測に適した環境を守る」という仕事を進めています。最近急激に増えたと言えば、人工衛星です。人工衛星とは、主に地球の周り(軌道上)を公転しながら、いろいろな役割を果たしている人工物を指します。天気予報に使われる気象衛星ひまわりはおなじみですね。皆さんが普段使っているスマホの地図アプリやカーナビで自分の場所がわかるのは、測位衛星のおかげです。その他、通信衛星や放送衛星などが活躍しています。人工衛星のなかには、肉眼で見えるものもあります。太陽の光を反射することで星のように輝いてみえるのです。この人工衛星、最近では毎週のように打ち上げられていて、その合計はおよそ1万機。何千機もの人工衛星を組み合わせて、地球のどこでもインターネットに繋げるようにしたり、将来的には携帯電話と通信したりすることが考えられています。こうした仕組みを、衛星コンステレーションと呼びます。コンステレーションとは、星座を意味する英語の単語。たくさんの人工衛星がグループになって一つの役割を果たすので、この名前がついています。人工衛星の数は今後もどんどん増えていき、2030年ごろには今の10倍、10万機になるともいわれています。多すぎる人工衛星が様々な問題を引き起こすこともあります。そのひとつは、人工衛星の光が天体観測の写真に写りこんでしまうこと。天体写真に写りこんでしまったら、とっても遠くの星の光がかき消されてしまうかもしれません。さらに、人工衛星が出す電波によって、遥か彼方の宇宙から届く電波の観測に悪影響が出てしまうかもしれない、と心配されています。もちろん、人工衛星は今の私たちの生活になくてはならないものです。能登半島地震でも、通信ができなくなってしまった場所で人工衛星を使った衛星通信が活躍しています。便利な人工衛星が活躍しながら、天文観測も続けられる。そんな、ふたつが共存できる環境を作るために、人工衛星を運用する企業の方々とも相談を続けています。例えば、天文学者の世界的な集まりである国際天文学連合では、人工衛星から天文学を守るための新しい組織を作りました。天文学者だけでなく、人工衛星を運用する企業の方たちも参加していて、どうやったら天文学への影響を減らせるか議論をしています。また、世界の電波の使い方を決めている国際電気通信連合でも、衛星コンステレーションから電波天文学を守るための議論が始まりました。世界のいろいろな人たちに受け入れてもらえる国際的なルールを作ることも、私の仕事のひとつなのです。国立天文台では、いろいろな望遠鏡やスーパーコンピュータを使って宇宙の謎に挑んでいます。ホームページ、X、フェイスブック、YouTubeなど、いろいろなところで情報をお届けしていますので、ぜひチェックしてみてください。国立天文台https://www.nao.ac.jp/国立天文台のSNSアカウントX(旧twitter) https://twitter.com/prcnaojInstagram https://www.instagram.com/naoj_pr/Youtube https://www.youtube.com/user/naojchannel以上解説は、星空を守る人国立天文台平松でした。
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