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死傷者行方不明者数2万8千人超、過去に例のない甚大な被害をもたらした『東日本大震災』。各地を襲った津波の高さは最大で14.8mに及び、この災害で亡くなった方の死因は90%超が溺死と言われています。ご遺体が安置所へ次々と運び込まれましたが、損傷が激しいこともあり身元確認に時間を要し、保管は長引き腐敗も進みました。事故や災害などで傷ついたご遺体を、生前の姿に重ね合わせ復元する『復元納棺師』。笹原留似子さんは岩手県北上市で復元納棺師として活動。看護学校の特別講師としてグリーフケア、グリーフケアに伴う接遇講師も担当。東日本大震災では遺族や機関関係者から依頼を受け遺体安置所をまわり、5ヶ月間で300人を超える「復元ボランティア」として奔走しました。笹原さんが納棺師として活動が始まったのは2007年。交通事故によって亡くなったご遺体を家族に引き渡すにあたり、遺族が死という現実を受け止め故人を見送れるよう、ご遺体をできるだけ生前と同じ顔、微笑みを浮かべた表情に戻す「復元」を始めたことがきっかけです。家族のお別れの時間を守るため「ご遺体に微笑みを取り戻す」、何度も繰り返すうちに、笹原さんは「復元納棺師」と呼ばれるようになりました。東日本大震災のとき、遺体安置所で小さな亡骸と出会った笹原さん。「身元不明者」であったことから触れることすらできませんでしたが、「あの子を戻してあげられなかった」という後悔は、その後の復元ボランティアとして活動に繋がっていきました。「どんな状態のご遺体でも、亡くなった方とその家族のためお別れの時間を生み出す」、その時間は尊いものであり、遺族が『死』を受け入れるためには必要なことだと、笹原さんは語ります。
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