石垣島天文台の研究員の仕事

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石垣島天文台の研究員の仕事

ソラジオトークfromOKAYAMAへようこそ。石垣島天文台研究員の早津です。今回のテーマは、「石垣島天文台の研究員のお仕事」についてです。さて、梅雨入りを迎えた石垣島ですが、島の気候は比較的過ごしやすく、固有種のヤエヤマヒメボタルが見頃を迎え、石垣産の果物、パインやバナナなどが旬を迎えています。私が石垣島に研究員として暮らし始めて1年と9ヶ月が経ち、魅力たっぷりのこの島に日々心癒されながら、石垣島天文台ライフを満喫しております。私の仕事は石垣島天文台にある「むりかぶし望遠鏡」をつかった科学観測のオペレーションや、チリにあるアルマ望遠鏡をつかった研究です。研究以外にも教育活動や広報普及活動も業務に入っています。様々な活動を通して、どうしたら石垣島天文台の研究員になれますか?どんな仕事をしているんですか?と嬉しい質問を何度かいただいたことがあります。ですので今回は、エピソードを交えながら、○石垣島天文台研究員のなりかた○研究員の仕事で楽しかったこと○自分の研究についての三つについてご紹介したいと思います。○まずは、石垣島天文台研究員のなりかたについてです。前回のオーディーで、石垣島は「空の良さ」「地理的な良さ」「施設の良さ」三拍子揃っている、日本からの天文観測において普遍的な価値をもった島ということをご紹介しました。その「施設の良さ」について、VERA石垣島観測局とともに重要な役割をになう石垣島天文台では、八重山星の会職員と国立天文台職員が常勤しています。私の雇用枠は、国立天文台天文情報センター特任研究員になります。求められるスキルは、・天文学関連分野の博士の学位またはそれと同等の能力・経験を有すること・天文学研究および教育・広報普及に関する知識と経験を有することとなっております。研究員以外にも運用支援、事務、装置開発、望遠鏡整備など色々な石垣島天文台への関わり方があります。また、石垣市や琉球大学も、石垣島天文台運営機関の一つです。他の天文台では趣味として星空案内人などの資格を取得し、天文台職員になった方もいるそうです。天文学はいろいろな興味と繋がることのできる学問だと思いますので、お仕事にするかどうかに関わらず、例えばこのラジオの時間を少しのきっかけにして「宇宙って面白いなぁ」と興味を持ち続けていただけましたら幸いです。では、次の話題です。研究員の仕事で楽しかったことについて。以前、「天文台では1日にどんな仕事をしていますか?」とお尋ねいただきまして、そこからご紹介したいと思います。何時に何をします、みたいなものを言いたかったのですが、本当に日によるし、時期によるのでなんとも言えません。大体締め切りに追われています。論文や観測提案や次の職の応募や発表や研究費申請など、あります。研究会を主催して研究者に来てもらうこともありますし、発表しに国内や海外に出張することもあります。夜に観測ができそうなら遅めに出勤して、メールチェックや最近でた論文のチェックをしたり、リモートで共同研究者や友達の研究者と議論や教科書を読む会をしているので、その準備をします。それが研究活動そのものになったり、研究の準備になったりします。あとはモニターのメンテナンス、ミーティング、観測準備と観測を行ったりします。そんな生活の中で、もちろん楽しいことばかりではないですが、一番楽しいのはやっぱり研究だと思います。研究については次の話題で話すとして、色々な業務をやれるのが石垣島天文台の研究員の特徴的なところだと思いますので、それをいくつか紹介します。まず、ただ楽しい仕事はモニターを作る時のドリルをつかった穴あけです。あのDIYなどのドリルです!前回のオーディーでも南十字星モニターについて少しご紹介しましたが、モニターは研究員によって自作されています。先代から受け継いだノウハウを継承しつつ、湿気や老朽化と戦いながら、不具合の起こらないようメンテナンスしております。他にも、美ら星研究体験隊という、高校生との小惑星探査のイベントはとても思い出深かったです。参加する前は、2泊3日の研究体験とはいうけれど、お膳立てされたプログラムをやって帰っていくだけなのだろうと、正直言って甘くみていたところがあったのですが、高校生たちの「絶対見つけてやる!」という熱意や、総意工夫には本当に良い刺激を受け、しかも実際に候補天体を見つけるという快挙を成し遂げました。私も夜通し興奮しながら観測のお手伝いをし、教育活動の奥深さを肌で感じた濃い経験でした。あとは東京工業大学と連携している「ガンマ線バースト」という宇宙空間で起こる爆発現象の即時観測も、稀有な体験でした。アラートが発令されたのは、一般の方向けの観望会が終わって、望遠鏡を終了しようとした時でした。その頃はまだ科学観測のしかたを覚えたてで、しかも休日だったので上司もいない状態で、ものすごく緊張しながら観測したのを覚えています。今までの研究ではリアルタイムで天文現象を追うことがなかったので、後日ちゃんと観測されていることが確かめられた時ははじめて味わう達成感がありました。○最後に、自分の研究について簡単にご紹介します。石垣島天文台の研究員には、個人研究の時間が勤務時間の50%、割り振られています。その時間を使って、宇宙の隠された歴史を知るために研究しています。大まかにはいろんな観測事実と理論から説明できているのですが、宇宙の進化とともに、どんな種類の銀河がどんな割合で生まれて、現在の宇宙に至ったか、という銀河形成の変遷や星形成の歴史に関してはまだ議論の余地があります。なので新しい観測装置や解析方法を試すと、例えば「実はあの時代にこんな種類の銀河が暗躍して、その後の歴史に重要な役割を果たしたのではないか?」のような、ヒントみたいなものがたくさん見えてきます。人類の歴史と似ているかもしれませんが、ざっくばらんには、そんな感じの研究をしています。前回のラジオでご紹介した南十字星の中には、コールサックと呼ばれる可視光で暗く見える部分があります。この暗く見える部分は星間ガスや星間ダストです。※星間ガス(Interstellargas)とは、宇宙空間に漂う水素やヘリウムを主体とした気体のことである。その密度は、水素原子が数個程度という希薄なものであるが、高密度に集積すれば、星雲として恒星が生まれる母胎にもなる。※星間ダストとは、宇宙空間の星々の間には、無数の小さな固体微小粒子が漂っています。それらは、「星間塵」あるいは「星間ダスト」と呼ばれ、小さいものでは数ナノメートル以下のものまであります。このような小さな領域は遠方銀河では細かく調べることはむずかしいです。ですが、可視光では暗く見えている領域

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