4分
今回の解説は、日本スペースガード協会浦川さんです。問題:8月のお盆頃に見られる流星群は、次のうちどれか。そもそも「流星・流れ星」の正体を知っていますか?流星の正体は、宇宙を漂っているとても小さな塵(ちり)が地球の大気圏に突入し、大気と反応して光っている現象です。どんな反応?塵(ちり)すごい速さで大気とぶつかりぶつかった所の大気に逃げ場がなくなり、圧縮されて高温高圧になります。これを断熱圧縮といいます。高温高圧となった大気の熱の影響で、塵(ちり)が溶けて蒸発します。このとき、大気中の原子や分子と反応して、光を放っているのです。※大気との摩擦で光っているという説明がありますが、これはよくある間違いなので、天文宇宙検定で回答するときは注意してくださいね。塵(ちり)の大きさは、0.1mm(ミリメートル)から数mm程度のものが多く砂粒ぐらいの大きさです。流星群とはどういった現象なのでしょうか?流星群は「彗星(ほうきぼし)」と密接な関係があります。彗星が流星群のもとになっているからです。彗星はそれぞれ固有の軌道を描きながら太陽を公転しています。彗星の本体は、水や二酸化炭素などの氷に塵(ちり)が混ざったもので太陽に近づくと彗星本体の氷が溶けてガスと塵(ちり)が放出されます。彗星の活動によって放出された一群の塵(ちり)は彗星の軌道に沿って帯状に分布しています。この塵(ちり)の帯は「ダストトレイル(Dust trail)」と呼ばれています。彗星が太陽に近づくたびに塵(ちり)を放出し、その軌道付近にダストトレイルを形成してきました。このダストトレイルと地球の軌道が交差していると地球がこの交差点に差し掛かったときに大量の塵(ちり)が大気に突入して、流星群が発生します。流星群が毎年同じ時期に現れるのはこのためです。ダストトレイルの塵(ちり)は交差する地球の大気に同じ方向から突入してきます。それぞれの塵(ちり)の粒はほぼ平行に突入してきますが、その様子を地上から観測すると、空のある一点、すなわち放射点から放射状に流れているようにみえるのです。この一点の場所が、ペルセウス座にあればペルセウス座流星群、ふたご座にあればふたご座流星群といったうように名前がついていくのです。ちなみに、現在日本で、「Destniy+(デスティニープラス)」という探査機が計画中です。流星群の現象が起こるということは、流星群の塵(ちり)の元となった母天体の彗星が存在することになります。「Destniy+(デスティニープラス)」では、ふたご座流星群の母天体である「ファエトン」という小惑星を訪れます。通常、流星群の母天体は彗星なのですが、「ファエトン」は小惑星です。なぜ小惑星なのに塵(ちり)を出しているのでしょうか?それを解明するのが「Destniy+(デスティニープラス)」の目的の一つ。これまでの観測である程度原因が分かってきていて、昔弱い彗星活動があったのではないか?普通の彗星とちょっと違った塵(ちり)の放出の仕方で例えばファエトンがとても太陽に近づく軌道をしているため熱の影響で表面がヒビ割れて塵(ちり)を放出しているのではないかなどと考えられています。いずれにしろ、これらの謎は、「Destniy+(デスティニープラス)」によって解明されるでしょう。日本スペースガード協会の浦川さんは「Destniy+(デスティニープラス)」の理学チームとして参加されるそうです。探査が今から楽しみです。とのことでした。
詳細情報を見る天文宇宙検定受験講座「目指せ!星博士ジュニア!!」