若者の自殺問題を考える――自分はいらない存在ではないか…

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若者の自殺問題を考える――自分はいらない存在ではないか…

2025年1月、文部科学省の発表によると、小中学生の自殺者数が過去最多の527人に達したことが明らかになりました。この衝撃的な数字を受けて、私たち大人や社会がどのように向き合うべきかについて、熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長と共に考えました。🔶若者の自殺、その原因は一つではないこのニュースが報じられると、多くのメディアでは「原因」に注目しがちです。いじめなのか、家庭環境なのか、経済的な問題なのか――確かに原因を特定し、対策を講じることは重要です。しかし、田中校長は「子どもたちの抱える悩みは、決して単純なものではない」と指摘します。「あるコメンテーターが『いじめが最大の原因』と断言していました。でも、いじめがゼロになったとしても、すべての子どもたちが生きやすくなるわけではない。家庭の問題を解決すればいいという単純な話でもありません。亡くなった子ども自身にしか、その苦しみの本当の理由は分からないのです。」確かに、大人の自殺と子どもの自殺には大きな違いがあります。大人の場合は、経済的な問題、健康の悪化、仕事のストレスなど、ある程度はっきりした理由があることが多いでしょう。しかし、子どもたちはどうでしょうか。彼らはまだ人生経験が少なく、未来に対する見通しも持ちにくい。だからこそ、「今この瞬間の苦しみ」が全てに感じられ、逃げ場を失ってしまうのかもしれません。🔶子どもたちの悩みと向き合うことの大切さ田中さんが校長を務める出水南中学校では、生徒が匿名で相談できるSNSを運営しています。そこに寄せられたある相談が、私たちに重要な示唆を与えてくれます。「時々、自分はいらない存在ではないかと思うことがあります。小学校高学年の頃からずっと自殺を考えてしまうことがある。でも、家族や友人のことを思うと申し訳ないと思う。悲しませたくないからこそ、余計に苦しくなります」この相談に対して、別の生徒がこう返答しました。「私も同じように思ったことがあります。でも、相談者さんはすごく優しい人ですね。周りのことを考えてしまうのは、それだけ誰かを大切に思っている証拠です。そんな自分を認めてあげてもいいのではないでしょうか」このやり取りには、深い意味があります。誰かに悩みを打ち明けること自体が、他の誰かの心を支えている。そして「生きること自体がすごいこと」と気づかせてくれるのです。🔶「死にたい」と言われたときにどう対応すべきか「死にたい」と相談されたとき、親や周囲の大人はどう反応すればいいのでしょうか。「つい『そんなこと言わないで!』と言ってしまいがちです。でも、それだけでは子どもは安心できません。大事なのは、その後に続く言葉。『あなたが大切だから、あなたのことが好きだからこそ、そんなふうに思わないでほしい』と伝えることです」子どもたちは、自分の悩みを相談することで相手に負担をかけるのではないかと考えてしまいがちです。そのため、まずは「どんなことでも話していいよ」という安心感を持たせることが大切です。🔶孤立を防ぎ、話せる環境を作る私たち大人も、子どものころに辛い思いをしたことがあるはずです。しかし、違うのは「孤立していなかった」という点ではないでしょうか。親や友人、先生、地域の人々――誰かしらがそばにいてくれたからこそ、乗り越えられたのではないでしょうか。「子どもたちにとって、大切なのは専門家のアドバイスではなく、ただ話を聞いてくれる人の存在です。『そうだったんだね』『それは辛かったね』と共感してくれるだけで、心が軽くなるものです」学校では「子どものSOSダイヤル」や「いのちの電話」といった相談窓口の情報が配られますが、実際にそれを利用するのは簡単ではありません。だからこそ、子どもたちが身近な人に気軽に話せる環境を作ることが大切なのです。🔶子どもにも、大人にも優しい社会を「527人という数字の裏には、それ以上に悩んでいる子どもたちがいるはずです。そして、子どもだけでなく、大人もまた悩みを抱えている。だからこそ、子どもにも、大人にも優しい社会を作っていくことが必要なのではないでしょうか」田中校長の言葉は、私たちに「支え合うこと」の大切さを改めて考えさせてくれます。すぐに解決できる問題ではありませんが、一人一人が「孤立しない社会」を意識することで、未来は少しずつ変わっていくのかもしれません。【SNSで相談】▽BONDプロジェクト:https://page.line.me/ahl0608p?openQrModal=true10代、20代の女性のためのLINE相談による支援を行います▽こころのほっとチャット:https://www.npo-tms.or.jp/service/sns.html年齢、性別に関わらず誰でも相談できます▽生きづらびっと:https://yorisoi-chat.jp/自殺対策支援センターライフリンクによる支援▽あなたのいばしょチャット:https://talkme.jp/相談24時間365日、年齢や性別を問わず、誰でも無料・匿名で利用できるチャット相談窓口▽LINEじんけん相談:https://page.line.me/825qsizz法務省の相談窓口。国の機関の職員(法務局の職員)や、いじめなどの人権問題に詳しい人権擁護委員が相談に応じます。周囲で困っていそうな友達についての相談も可能です【電話で相談】▽24時間子供SOSダイヤル(0120・0・78310)▽チャイルドライン(0120・99・7777)18歳の子どものための無料相談窓口▽いのちの電話(0120・783・556)様々な困難や危機にあって、生きるのがつらい人のための相談電話▽こどもの人権110番(0120・007・110)法務省による相談窓口▽児童相談所虐待対応ダイヤル「189」(局番なしの189)厚生労働省による相談窓口▽都道府県警察少年相談窓口熊本県警は「肥後っ子テレホン(肥後っ子サポートセンター)」を設置。電話は(0120・02・4976)もしくは(096・384・4976)で受け付け、メール(higokko@police.pref.kumamoto.jp)でも対応しています【熊本県内の相談窓口】▽熊本県教委学校安全・安心推進課(096・333・2720)▽熊本県教委義務教育課(096・333・2689)▽熊本県教委高校教育課(096・333・2685)▽熊本県教委特別支援教育課(096・333・2683)▽熊本市教育相談室(096・362・7070)対面による相談で、電話による事前予約が必要

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