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RKKラジオ

エンタメ・教育・ITの専門家が気になる話題を徹底解説!!第1金曜日・・・映画解説・研究者上妻祥浩さん第2金曜日・・・ライブ配信ディレクター斉場俊之さん第3金曜日・・・熊本市立出水南中学校校長田中慎一朗さん第4・5金曜日・・・元RKKアナウンサー宮脇利充さん◆WEBhttps://rkk.jp/515news/◆メール515@rkk.jp★地上波ではRKKラジオ(熊本)FM91.4AM1197で、毎週金曜日午後5時15分から放送中。是非生放送でもお聴きください。

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エピソード

国旗をめぐる「表現の自由」と「強制」の境界線――自民党が推進する「国旗損壊罪」がもたらす社会の変容

国旗をめぐる「表現の自由」と「強制」の境界線――自民党が推進する「国旗損壊罪」がもたらす社会の変容

国旗をめぐる「表現の自由」と「強制」の境界線――自民党が推進する「国旗損壊罪」がもたらす社会の変容

自民党の作業チームが、自国の国旗(日の丸)を傷つける行為を処罰する「国旗損壊罪」の新設へ向けて方針案を大筋で了承しました。一見、愛国心やマナーの問題のようにも思えるこの法案ですが、元RKKアナウンサーの宮脇利充さんは、「法制化によって社会の空気がどう変わるのか」という点に強い懸念を示します。聞き手はRKKの江上浩子です。🔶 「国旗損壊罪」の骨子と、松野座長が語る立法趣旨現在、自民党内で検討が進められている「日本国国旗損壊罪」の主な内容は以下の通りです。処罰の対象: 実物の国旗を公然と損壊、除去、汚損する行為に加え、その動画をSNSで拡散する行為なども含む。罰則: 2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金。作業チームの座長を務める松野博一元官房長官は、「国旗に対する損壊行為が現実として発生している中、こうした行為を将来にわたって抑止し、国旗を大切に思う国民が不快に感じないようにするのが基本的な考え方だ」と述べています。しかし、宮脇さんは「そもそも今、国会でわざわざ時間を割いて法案化しなければならないほど、国旗の損壊事件が頻発しているのだろうか」と、前提となる現状認識に疑問を投げかけます。🔶 既存の法律で処罰は可能? 過去の事例から見る実態国旗を傷つける行為に対しては、わざわざ新しい法律を作らなくても、現行の法制度で対応できるという事実があります。宮脇さんは、1987年10月の沖縄国体において、平和運動家である知花昌一氏が日の丸を引き下ろして焼き捨てた「沖縄国体日の丸焼却事件」を例に挙げます。当時の法的な位置づけ: 1987年当時は「国旗国歌法(1999年成立)」ができる前であり、日の丸は法的な国旗ではありませんでした。現行法での判決: 新たな罪名がなくとも、知花氏は建造物侵入罪、器物損壊罪、威力業務妨害罪により、懲役1年・執行猶予3年の有罪判決が確定しています。つまり、他人の所有物である国旗を傷つければ、現在でも「器物損壊罪」等で十分に逮捕・処罰が可能です。問題は、「自分が所有する国旗」を損壊した場合にまで罪に問うべきか、という点にあります。🔶 「一般的な国民の感情」という言葉の危うさ自民党の骨子案では、立法の目的を「国旗を大切に思う一般的な国民の感情を保護するため」としています。しかし、ここには憲法に関わる重大な懸念が潜んでいます。主観的な適用のリスク: 「著しく不快な感情を抱かせる方法」かどうかを、一体誰がどのように判断するのかという基準が曖昧です。憲法との抵触:強い国家抗議の意志として国旗を扱う行為は、憲法第19条の「思想および良心の自由」や、第21条の「表現の自由」に守られた領域ではないかという見方があります。同調圧力の懸念: 法律で「一般的な国民の感情」を定義してしまうと、そこから外れる少数派を「一般的ではない」として排除・批判する社会の空気を作りかねません。🔶 「強制はしない」という約束の行方歴史を振り返ると、かつて政治が交わした「約束」が、時を経て形骸化していくプロセスが見えてきます。1999年に「国旗国歌法」が成立した際、当時の小渕恵三総理大臣は「処罰をもって強制することは適当ではない」との方針を示し、野中広務官房長官も「敬愛や斉唱を強制するものではない」と答弁していました。しかし、その後の現実は異なります。2004年秋の園遊会:東京都教育委員(当時)の米長邦雄氏が、明仁天皇(現・上皇さま)に対し「日本中の学校において国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と発言。これに対し天皇は「強制になるということではないことが望ましいですね」と、懸念を込めて笑顔で返されました。2011年の大阪府の条例:橋下徹知事(当時)のもと、大阪維新の会が提出した教職員への君が代起立斉唱義務化条例が成立。以降、起立して歌わない教員を再雇用しないなどの処分が繰り返されるようになりました。「強制はしない」として始まった法制化が、段階的に義務化へ、そして今回の「処罰化」へと向かっている流れは、過去の歴史が証明しています。🔶 まとめ:言葉の重みと、社会の変容への警戒宮脇さんは次のように締めくくります。「自分は国旗を燃やしたりしないから関係ない、と見過ごしてしまうのは危険です。この法律ができることで、『一般的な感情』から外れた人間を取り締まる寛容さのない社会へと、確実に一歩進むことになります」愛国心や敬意は、刑罰という権力によって強制されるものではなく、一人ひとりの内心から自然に湧き上がるものであるべきだという、メディアとしても極めて重要な視点を提示する解説でした。出演:元RKKアナウンサー・宮脇利充さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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「会話」と「対話」は決定的に違う。中学生が自ら欲した“一生モノのスキル”を育む「出南タイム」の試み

「会話」と「対話」は決定的に違う。中学生が自ら欲した“一生モノのスキル”を育む「出南タイム」の試み

「会話」と「対話」は決定的に違う。中学生が自ら欲した“一生モノのスキル”を育む「出南タイム」の試み

「会話」を「対話」へアップデートし、問題を乗りこなす力を育む熊本市立出水南中学校では、生徒たちが主体的に他者と関わり、新しい価値を創造する力を養う「出南(いずなん)タイム」という独自の取り組みを推進しています。この活動の核心は、単なる情報のやり取りである「会話」を超え、互いの考えが混ざり合うことで新しい発見が生まれる「対話」の実践にあります。田中慎一朗校長が語る、教育現場における「対話」の真意とその可能性について、RKKの江上浩子が詳しく話を伺いました。🔶 会話と対話は違う――「化学変化」が生み出す新しい価値出水南中学校が「総合的な学習の時間」を活用して取り組んでいる「出南タイム」は、自分の意見を広げ、深め、相手の考えに反応するスキルの育成を目指しています。田中校長は、本取り組みにおける「対話」を化学反応に例えて説明します。対話の定義: 対応することによって、新しい価値や化学変化が生まれるプロセスである。化学変化の例え:一方が「水素」という意見を持ち、もう一方が「酸素」という意見を出した際、それらが混ざり合って「水」という全く異なる物質が生まれるような状態を目指す。相互作用: 生まれた「水」にまた別の意見を掛け合わせることで、お互いに初期の価値観を超えた新しい価値を生み出し続ける。🔶 問題をゼロにするのではなく「乗りこなす」学校生活における人間関係の悩みや対立に対し、田中校長は問題を無理に排除するのではなく、その捉え方を変えていくことが重要だと説きます。問題の不可避性: 人と人が関わる限り問題は生じるものであり、ゼロにすることを目指すのではない。価値への変換: 対話を通じて問題の見え方を変え、そこから新しい価値を見出すことができれば、誰も不幸にしない解決が可能になる。生徒のニーズ: 実際に生徒たちから「友達との仲直りの仕方を知りたい」「傷つけずに自分の気持ちを伝える力を身につけたい」といった要望が上がっている。🔶 「行動」の裏にある「感情」と「ニーズ」へのアプローチ「出南タイム」では、熊本大学とも連携し、「紛争解決学」の知見を取り入れた模索が続いています。その中で大切にされているのが、生徒の表面的な「行動」だけでなく、その奥底にある「ニーズ」にたどり着く視点です。三層の構造: 人のコミュニケーションには「行動」「感情」「ニーズ」の三層がある。感情の正体: 行動(相手を傷つける、学校に行かない等)の裏には、寂しさや不安といった「感情」がある。ニーズの探求: 感情のさらに奥には「認められたい」「自分を知ってほしい」といった、満たされていない本質的な「ニーズ」が隠れている。対話の役割: 相手の話をまず聞くことでその「ニーズ」に触れ、そこからようやく自分自身の行動を見つめ直す「内省」が可能になる。🔶 まとめ:対話が培う「自ら成長する力」出水南中学校が進める「出南タイム」は、単なるスキルの習得ではなく、生徒一人ひとりが問題に主体的に関わり、自分と他者を見つめ直す「場」を提供しています。田中校長は、「問題について全員がそれぞれの立場で向き合う基礎体力がつけば、それは子どもたちが将来社会で活躍するための大きな力になる」と、その成長に強い期待を寄せています。出演:熊本市立出水南中学校校長・田中慎一朗さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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1000億円超の市庁舎建設と「市民の不信」――いま求められる行政の透明性とは

1000億円超の市庁舎建設と「市民の不信」――いま求められる行政の透明性とは

1000億円超の市庁舎建設と「市民の不信」――いま求められる行政の透明性とは

2026年5月現在、熊本市や八代市で大きな議論を呼んでいる「市庁舎問題」。巨額の建設費や不透明なプロセス、さらには汚職事件まで、市民の行政に対する信頼が揺らいでいます。ライブ配信ディレクターの斉場俊之氏は、この問題の本質は「市民に向き合わない行政の姿勢」にあると指摘。AI技術の活用による情報の民主化こそが、解決への鍵であると語ります。聞き手はRKKの江上浩子です。🔶 膨らむ建設費と相次ぐ不祥事が招く不信感熊本市では桜町への新庁舎建設が進められていますが、事業費が発表のたびに上昇し、ついに1000億円の大台を超えました。一方で、八代市では市庁舎建設を巡るあっせん収賄容疑で市議らが逮捕されるという、あってはならない事態が発生しています。経緯は異なりますが、市民が受ける印象は同じです。🔷 「話がどんどん変わっていく」ことへの戸惑い:熊本市の事例では、耐震性の議論や元庁舎の活用といった市民の声に対し、十分な納得が得られないまま「特例債の期限」というタイムリミットを優先して議論が締め切られた印象があります。🔷 特定の利益への疑念: 八代市の不祥事は、特定の企業や個人が利益を得るために行政が歪められたのではないかという強い猜疑心を生んでいます。🔶 巨額プロジェクトの陰で蝕まれる生活インフラ斉場氏は、華やかなビッグプロジェクトが進む一方で、私たちの日常生活を支えるインフラがおざなりになっている現状に警鐘を鳴らします。🔷 熊本市電のトラブル: かつての財政改革でコストを抑えた結果、インシデント(事故一歩手前の事態)や追突事故が多発し、運転手不足による減便も常態化しています。🔷 地域の公共施設廃止:八代市では、九千坊温泉センターや旧厚生年金会館などの廃止方針に対し、市民から猛反対が起き、小野市長がゼロベースでの見直しを表明する事態となりました。「私たちの税金が、自分たちの生活を豊かにするためではなく、別の思惑で動いているのではないか」――そんな不信感が、市民の間に広がっています。🔶 AIとデータの力で「お上と下々」の関係を脱却するこのような状況を打破するために必要なのは、行政による圧倒的な情報の透明化です。斉場氏は、AIを活用した情報開示の迅速化を提案しています。▶ 議事録の即時公開: 従来の議事録作成には時間がかかりましたが、現在はAIによる文字起こしを活用すれば、会議の内容をその日のうちに公開することが可能です。▶ 建設的な議論の土台作り: 資料や議論の過程がすべて可視化されていれば、市民も感情的な反対ではなく、根拠に基づいた提案を行うことができます。▶ 市民自身の情報のキャッチ力:行政に情報を求めるだけでなく、市民自身もホームページのパブリックコメントや最新のPDF資料を積極的に取りに行く姿勢が求められます。🔶 まとめ:将来への「投資」と納得感「浪費を投資と思わせるまやかしがあってはならない」と斉場氏は語ります。何でも反対するのではなく、何が必要で何が不要なのかを見極めるためには、丁寧なプロセスと正確な情報が欠かせません。行政が最新の情報を出し続け、市民がそれを注視し、議会が機能する。この当たり前の循環を取り戻すことこそが、未来の世代にツケを回さないための唯一の道と言えるでしょう。出演:ライブ配信ディレクター・斉場俊之さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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5月の映画は「再会」と「情熱」が鍵。上妻祥浩さんが選ぶ、GWから初夏を彩る注目3作

5月の映画は「再会」と「情熱」が鍵。上妻祥浩さんが選ぶ、GWから初夏を彩る注目3作

5月の映画は「再会」と「情熱」が鍵。上妻祥浩さんが選ぶ、GWから初夏を彩る注目3作

――「プラダ」20年後の続編から、光浦靖子が英語で魅せる格闘ドラマまで映画解説研究者の上妻祥浩さんが、5月公開の強力なラインナップを厳選しました。今月のキーワードは「時を経て磨かれた輝き」。20年前の伝説の再集結や、90年代の熱狂を呼び覚ます実話など、世代を超えて楽しめる作品が揃いました 。聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 働く女性のバイブルが20年ぶりに帰還!『プラダを着た悪魔2』(5月1日公開)公式サイトはこちら👉 https://www.20thcenturystudios.jp/movies/devil-wears-prada22006年の公開以来、世界中の女性を熱狂させた前作から20年 。待望の続編がついに幕を開けます。オリジナルキャストが奇跡の集結:カリスマ編集長ミランダ役のメリル・ストリープ、かつてのアシスタントで現在はジャーナリストとして活躍するアンディ役のアン・ハサウェイらが、20年の時を経て再び相まみえます。ファッション誌の危機を救え: ジャーナリストとなったアンディが、かつての古巣であるファッション誌『ランウェイ』の存亡をかけた窮地に立ち向かう物語です 。20年という「熟成」の味わい: 俳優陣が実際に年齢を重ねたことで、キャラクターの成長と変わらぬ個性が絶妙な味わいを生んでいます 。「1作目を見てファンになった世代はもちろん、その後に生まれた若い世代にとっても、働くことの意味やファッションの魔法を感じられる最高の続編です」(上妻さん)🔶 伝説の格闘家、マーク・ケアーの魂に迫る『スマッシング・マシーン』(5月15日公開)公式サイトはこちら👉 https://happinet-phantom.com/a24/smashingmachine/index.html90年代の日本で熱狂を巻き起こした総合格闘技「PRIDE(プライド)」。その中心にいた「霊長類最強の男」こと、マーク・ケアーの実話に基づく物語です 。肉体と心の限界に挑む: 主演のドウェイン・ジョンソン(V・ジョンソン)が自ら製作も務め、最強を追い求める一方で心を蝕まれていく格闘家の苦悩を真正面から演じます。豪華な「日本」の布陣: 大沢たかおさんが出演するほか、布袋寅泰さんが本人役で国歌演奏を披露するなど、日本でのシーンも見どころです 。光浦靖子さんの驚異の英語劇:通訳役として出演する光浦靖子さんは、東京外国語大学卒業の語学力を活かし、ほぼ全編英語のセリフを流暢にこなし、一人の役者として真剣な演技を披露しています 。「強さの裏側にある孤独や葛藤を描いた、胸に迫る人間ドラマです。アメ横を歩くエミリー・ブラントの姿など、意外なシーンにも驚かされます」(上妻さん)🔶 二重の謎が交錯する、堤幸彦ワールド全開『ミストリー・アリーナ』(5月22日公開)公式サイトはこちら👉 https://movies.shochiku.co.jp/mysteryarena-movie/推理小説を題材にしたクイズ番組を舞台に、虚構と真実が入り乱れる緻密なミステリーです。異色の司会者と天才少女:アフロヘアでハイテンションな司会者を演じる唐沢寿明さんと、回答者として参加する天才少女役の芦田愛菜さんによる、スリリングな謎解きバトルが展開します 。堤幸彦監督の真骨頂:『トリック』などのヒットメーカー、堤幸彦監督が手がける本作は、番組内の謎解きと、その裏側に隠された真実という「二重の謎」が仕掛けられています 。超豪華な回答者陣: 玉山鉄二さん、そしてミステリーの女王と呼ばれる作家役で浅野ゆう子さんが出演。一癖も二癖もある登場人物たちが、予測不能な結末へと導きます 。「心地よいひねりが効いた、堤監督ならではのエンターテインメント。最後まで先が読めないワクワク感を、ぜひ劇場で体験してください」(上妻さん)🔶 まとめ:5月は映画館が「最高の社交場」になる「GWから初夏にかけて、これほど特色豊かな作品が揃うのは珍しい。家族で、カップルで、快適な映画館の環境で楽しんでほしいですね」(上妻さん) 。新緑の季節、日常を離れてスクリーンの向こう側の情熱に触れてみてはいかがでしょうか。出演:映画解説研究者・上妻祥浩さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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県が出したダム広告は「ミスリード」か?――川辺川ダム建設をめぐるデータと事実の不一致を問う

県が出したダム広告は「ミスリード」か?――川辺川ダム建設をめぐるデータと事実の不一致を問う

県が出したダム広告は「ミスリード」か?――川辺川ダム建設をめぐるデータと事実の不一致を問う

今回のテーマは、熊本県が2026年2月に掲載した「川辺川ダム建設」に関する大規模な新聞広告をめぐる波紋です。新年度が始まった4月16日、この広告の内容に根拠がないとして、市民団体が県に抗議を行いました。宮脇利充氏は、税金を使った広報の在り方と、県が提示するデータの正確性に強い疑問を投げかけます。🔶 税金で「議論の割れる主張」を一方的に発信していいのか問題となっているのは、2026年2月21日付の熊本日日新聞に見開き2面で掲載された熊本県のカラー全面広告です。「住民の命と地域の宝である清流を守る」という見出しで、ダムの予想完成図や治水効果を強調するグラフが多用されていました。原資は税金: 議論が真っ二つに割れている事業について、税金を使って一方の立場(行政)を正当化する手法には、公平性の観点から慎重であるべきです。ミッションか世論誘導か: 県は「分かりやすく伝える義務がある」と考えますが、それが正確な事実に即したものでなければ、読者を誤った方向へ導くことになりかねません。🔶 2020年7月豪雨の「真実」との食い違い広告では「ダムがあれば被害を防げた」という趣旨の説明がなされていますが、宮脇氏は市民団体による詳細な調査結果をもとに反論します。「令和2年7月豪雨で亡くなった50人の方々の死因を市民団体が調べたところ、そのほとんどは球磨川本流がピークに達する数時間前に起きた、支流の氾濫や斜面崩落が原因でした。県はこの事実関係を自ら調査しておらず、反論できないはずです」雨量の実態: 当時、川辺川ダム建設予定地の上流部にはそれほどの雨は降っておらず、仮にダムがあったとしても結果は同じだった可能性が高いとされています。「ブレンク」の12年間:ダム計画が中断していた期間に本来やるべきだった「田んぼダム」などの流域治水対策が手つかずだったことが、被害を招いたという側面も無視できません。🔶 「データはない」という国交省――置き去りにされる環境への影響県が進捗を確認するために開催している「進捗を確認する仕組み会議(第4回)」でのやり取りからも、行政側の準備不足が露呈しています。環境への懸念:自然観察指導員熊本県連絡会の鶴翔子氏が「水温の変化がアユやエサとなる珪藻類に与える影響のデータ」を求めた際、国交省の担当者は「今はデータを持ち合わせていない」と回答しました。砂防ダムの問題: 本体のダム湖に土砂を入れないために建設される無数の砂防ダムが、河川を分断し生態系に致命的な影響を与えるリスクも指摘されています。🔶 今日ここを持ち帰る:行政広報に飲み込まれない5つの習慣「広告」と「記事」を区別する: 行政が出している広告は、あくまで「その組織の立場」からの主張であることを念頭に置きます。死因や雨量などの「一次データ」を疑う: 「ダムがあれば防げた」という結論だけでなく、具体的な被害のタイミングや場所がどうだったかを確認します。「不都合な事実」の有無をチェック: メリットだけでなく、環境への悪影響や過去の不作為(流域治水の遅れ)が語られているかを見極めます。「共同検証」の拒否に注目: 熊本県知事が市民との共同検証を「有識者の見解を否定することになる」として拒否した姿勢など、対話の拒絶がないかを注視します。「データ持ち合わせず」の意味を知る: アセスメント(環境影響評価)が不十分なまま事業が先行していないか、議事録などで担当者の発言を確認します。「データを持ち合わせていないのに、治水効果だけを強調する。その不誠実さが、市民の不信感を生んでいるのではないでしょうか」(宮脇利充)🔶 まとめ「住民の命を守る」という大義名分の下で行われる広報活動が、果たして多角的な議論を尊重したものになっているのか。宮脇氏は、行政が自分たちの都合に合わせた「物語」を作るのではなく、市民と共に痛みを伴う検証を重ねることこそが、本当の意味で未来に清流と安全を届ける道であると結びました。出演:元RKKアナウンサー・宮脇利充さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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「第三者委員会」の限界  いじめ調査の知られざるリスクとは?

「第三者委員会」の限界  いじめ調査の知られざるリスクとは?

「第三者委員会」の限界  いじめ調査の知られざるリスクとは?

2026年4月、教育現場では新年度が始まりましたが、いじめ問題を巡る「調査」の在り方については今なお大きな課題が残されています。熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長は、いじめの重大事態が発生した際に設置される「第三者委員会」について、その公平性や手続きの不備といった、現在の制度が抱える「歪み」を指摘します。聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 「第三者委員会」が直面する、人選と公平性のジレンマいじめ防止対策推進法では、いじめによる「重大事態」が発生した際、被害者側の希望や行政・学校の判断により「第三者委員会」を設置することが定められています。文字通り「第三者」が客観的に事実を調査する仕組みですが、田中校長はその「人選」の段階から難しさがあると言います。人選の不透明さ: かつては教育委員会(行政)がメンバーを選んでいたため、「身内や都合の良い人間を選んでいる」という批判がありました 。「第三者」の定義の揺らぎ: 現在は弁護士会や心理士会からの推薦を受ける形が一般的ですが、一方で被害者側の意向が強く反映された人選が行われるケースもあります 。選任の曖昧さ: 公的な推薦を得る義務などの厳格な規定がなく、運用が自由に行える現状があり、委員の主義主張が調査に反映されやすい構図になっています 。🔶 裁判とは異なる「手続き保障」の欠如田中校長が特に懸念しているのは、調査プロセスにおける「公平性」です。裁判であれば原告と被告の双方が等しく主張し合い、不服があれば上訴する権利(手続き保障)がありますが、第三者委員会の枠組みは異なります。反論の機会の乏しさ:申し立てられた側(加害者とされる側)も聞き取りは受けますが、あくまで調査委員の文脈に沿ったものになりがちで、十分な弁明や反論の手続きが保障されていません 。不服申し立ての格差:いじめ防止対策推進法では、被害者側は委員会の結果に納得がいかない場合、首長部局に対して再調査を申し立てることが可能です。しかし、申し立てられた側には同様の権利が認められていないのです。「裁判のような双方が言い合える場とは異なり、第三者委員会では一方の権利(被害者救済)が優先されるあまり、もう一方の手続き保障が置き去りになっている恐れがあります」🔶 「非公表」に埋もれる名誉回復のチャンス第三者委員会の設置は大きく報じられる一方で、その「結果」が市民に伝わらないケースが多々あります。これが、申し立てられた側の「名誉」を著しく傷つける実情を生んでいます。▶ 報道の偏り:委員会の立ち上げはニュースになりますが、調査の結果「いじめがなかった」と判断された場合でも、その結果が非公表になれば市民は真相を知る術がありません 。▶ 名誉回復の困難さ: 加害者という疑いをかけられた側は、事実に反する結論が出たとしても、それを公に否定し、名誉を回復するチャンスを失ってしまうのです 。また、実務面でも「委員のなり手不足」という深刻な問題が起きています。税金を原資とする報酬は弁護士の通常業務に比べて非常に低く、長い時間を費やしても結果が非公表になれば、専門家としての労力が社会に還元されないという空虚さを生んでいます。🔶 まとめ:被害者救済と公平性のバランスを求めて田中校長は「被害者救済が最優先であることは大前提だ」とした上で、現状の「第三者委員会」というネーミングが持つ「絶対的な公平性」というイメージに警鐘を鳴らします。「第三者が調査したからといって、そのすべてが絶対的な事実とは限りません。誰かを守るための仕組みが、別の誰かを深く傷つけてしまうリスクについて、私たちは共通認識を持つ必要があります」海外のように、被害者救済の仕組みと、事実をジャッジする仕組みを分けるといった「手続きの適正化」への議論。いじめ問題を誰もが納得できる形で解決するためには、表面的な調査に留まらない、より高度な制度設計が求められています。出演:熊本市立出水南中学校校長・田中慎一朗さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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熊本地震から10年、「思い出話」を「未来を守る力」へ変える――ライブ配信ディレクター・斉場俊之氏が語る、災害を「自分事」にアップデートする視点

熊本地震から10年、「思い出話」を「未来を守る力」へ変える――ライブ配信ディレクター・斉場俊之氏が語る、災害を「自分事」にアップデートする視点

熊本地震から10年、「思い出話」を「未来を守る力」へ変える――ライブ配信ディレクター・斉場俊之氏が語る、災害を「自分事」にアップデートする視点

4月14日、16日の「熊本地震の日」を前に、各地で追悼式典や特集報道が行われています 。多くの人が震災当時を振り返る中、斉場さんは「節目を単なるメモリアルにしないということ」と提言します。🔶 「忘れること」の必要性と、失ってはいけない「経験値」発災から10年が経過し、当時の生々しい記憶が薄れてきたと感じる人も少なくありません。斉場さんは、記憶の風化を「人間が生きていく上で必要な機能」と捉えています 。心の防衛本能: つらい記憶を抱え続けることは精神的な負担が大きく、適度に「忘れていく」ことは人として必要な心の機能である 。貴重な財産としての経験: 一方で、被災から復興までを「できるしこ(自分にできる範囲)」で支え合った経験は、何物にも代えがたい「経験値」である 。自分事化: 災害を「他人事」ではなく「自分事」として捉えられるようになった感性は、被災したからこそ得られた大きな財産である 。🔶 「安全バイアス」を打ち砕く火山の真実斉場さんは、NHKで放映された富士山噴火のシミュレーション番組(前編4/5、後編4/12放送予定)に触れ、私たちが陥りがちな「安全バイアス」の危うさを指摘します。「富士山は美しく、噴火するイメージを持ちにくい」という感覚は、かつての熊本県民が抱いていた「熊本は地震が少ない」という思い込みと重なります 。金峰山は「立派な火山」: 熊本市の西側に位置する金峰山は、立派なカルデラを持つ火山である 。知られざる地形: 峠の茶屋を越えた先にある開けた土地は、かつてのカルデラ湖の跡であり、立田山もまた一連の火山活動で形成された山である 。「静穏」は一瞬の奇跡: 私たちはダイナミックな地球活動の中の、ほんの一瞬の穏やかな時期に過ごしているに過ぎない 。🔶 「1%未満」の罠から抜け出し、次の災害への「スタート」へ熊本地震の前、熊本で30年以内に大地震が起きる確率は「1%未満」とされていました。この数字を「安全」と読み違えたことが、いざという時の混乱を招く要因となりました 。斉場さんは、10年目の今こそ、振り返るべきポイントを整理しています。▶ 具体的な検証: 何に困り、どう動いたのか。その行動は正解だったのか、それとも失敗だったのか 。▶ 変化の自覚: 10年前と現在では、自分の年齢も体力も家族構成も異なる。当時と同じ動きができるとは限らない。▶ 防災の再構築: 地震だけでなく、水害や火山災害も含め、「いつ来るかわからない災害」に対する覚悟を持ち直す 。🔶 まとめ:未来の被害を減らすための「覚悟」「苦難を乗り越える」という過去の視点から、「未来の被害を減らす」という未来の視点へ。斉場さんは、節目の日を単なる思い出話で完結させるのではなく、次の災害に向けた「スタート」の日にすべきだと結びました。「地震は終わった」という空気感に流されることなく、10年前の教訓を次の10年の備えへと繋いでいく。その一人ひとりの意識の変化こそが、次に必ずやってくる災害から、私たち自身を守る唯一の手段となるはずです。出演:ライブ配信ディレクター・斉場俊之さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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上妻祥浩さんが選ぶ、人生を期待させる映画3本――音楽、純愛、そして奇想天外なコメディ。異なる輝きを放つ物語たち

上妻祥浩さんが選ぶ、人生を期待させる映画3本――音楽、純愛、そして奇想天外なコメディ。異なる輝きを放つ物語たち

上妻祥浩さんが選ぶ、人生を期待させる映画3本――音楽、純愛、そして奇想天外なコメディ。異なる輝きを放つ物語たち

映画解説研究者の上妻祥浩さんが、偶然にもすべて4月17日(金)に公開が重なった注目作3本をピックアップしました 。今回の共通項は、形は違えど「一生懸命に生きる人々へのエール」です 。聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 「遅すぎることはない」音楽と家族の再生『ソング・サング・ブルー』(4月17日公開)公式サイトはこちら👉 https://gaga.ne.jp/song_sung_blue/伝説的歌手ニール・ダイヤモンドを敬愛し、そのトリビュートバンドを結成した実在の夫婦を描く実話の映画化です 。魂を揺さぶる歌唱シーン: 主演のヒュー・ジャックマンとケイト・ハドソンが、俳優の枠を超えた圧倒的な歌唱力を披露します 。二つの家族が一つになるまで: 再婚同士の二人が、音楽を通じて本当の「家族」になっていく様子が丁寧に描かれます 。一歩踏み出す勇気: 「人生に遅すぎることはない」というメッセージは、新生活を始めた人々の背中を優しく押してくれます 。🔶 24年越しの想いが家族を癒やす『人はなぜラブレターを書くのか』(4月17日公開)公式サイトはこちら👉 https://loveletter-movie.jp/2000年3月に発生した営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線の脱線衝突事故で、最愛の人を亡くした女性の実話に基づく物語です 。時を超えた手紙: 事故で命を落とした男子高校生。24年後、当時想いを伝えられなかったヒロインが綴った手紙が、残された両親のもとへ届きます 。実名で綴られる真実: 亡くなった少年は実名で登場し、彼が志したプロボクサーへの夢や知られざる素顔が、手紙を通じて家族に再発見されていきます 。二人のヒロイン: 現在のヒロインを綾瀬はるかさん、高校生時代を當真あみさんが演じ、面影の重なる二人が切なくも温かい純愛を体現します 。🔶 世界が熱狂した“暴走”スラップスティック『FEVER ビーバー!』(4月17日公開)公式サイトはこちら👉 https://100beaver.com/北米で社会現象を巻き起こし、満を持して日本へ上陸する奇想天外なアメリカ映画です 。現代に蘇るサイレント・コメディ: 全編モノクロ、セリフはほぼなし。チャップリンやバスター・キートンを彷彿とさせる、体を張ったアクションで笑わせるスタイルです 。狂気のビーバー軍団: 娘との結婚を許してもらうため、1人の猟師が山のようなビーバーを捕らえに挑みます。劇中に登場する大量のビーバーはあえて「着ぐるみ」で表現され、その独特な世界観がシュールな笑いを誘います 。ジャンルを超越した熱量: 後半はスタローンの『ランボー』のような無敵のアクションへと変貌。世界各国の映画祭で「奇想天外」と絶賛された映像体験が楽しめます 。🔶 まとめ:春、映画館で「人生のエネルギー」を受け取る「家族のドラマがあり、歌があり、そして理屈抜きの笑いがある。今回ご紹介した3本は、どれも映画ならではのエネルギーに満ちています」(上妻さん) 。心温まる感動を味わうか、純愛に涙するか、あるいは見たことのない笑いに圧倒されるか。4月17日、あなたの「今の気分」にぴったりの1本を見つけに、ぜひ劇場へ足を運んでみてください。#ヒュージャックマン #ケイトハドソン #綾瀬はるか #加藤萌朝 #シンシアエリヴォ #SnowMan

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NHKの「不測の事態」という言葉に潜む危うさ――2026年度予算審議をめぐるメディアの責任

NHKの「不測の事態」という言葉に潜む危うさ――2026年度予算審議をめぐるメディアの責任

NHKの「不測の事態」という言葉に潜む危うさ――2026年度予算審議をめぐるメディアの責任

~国会で続く「予算審議」と、それを伝えるメディアの姿勢について~衆議院での異例の短時間審議を経て参議院へ送られた2026年度予算案。宮脇利充さんは、NHKの定時ニュースで繰り返される「あるフレーズ」に強い違和感を唱えます。🔶 「数の力」による強行突破と参議院の攻防2026年度予算案は、今月中旬に衆議院を通過しました。2月の総選挙で単独3分の2を超える議席を得た自民党と、連立を組む日本維新の会が「4分の3以上」の議席を背景に、強気な国会運営を続けています。異例の審議打ち切り: 衆院予算委員会の坂本哲志委員長(熊本選出)が職権を連発し、通常80時間程度かける審議を59時間で打ち切りました 。参議院の勢力図: 衆院とは異なり、与党(自民・維新)は過半数に4議席足りません。そのため、年度内成立が不透明となり、政府は4月1日から11日までの「暫定予算」を決定しました 。🔶 「不測の事態」は、本当に「予測不能」だったのか?宮脇さんが最も注視しているのは、NHKが定時ニュースのリード(冒頭)で繰り返し使う「不測の事態に備えて」という表現です 。政府首脳(高市総理、片山財務大臣、木原官房長官)も会見でこの言葉を多用していますが、宮脇さんは「これは政府・与党の立場に偏った表現ではないか」と指摘します 。🔵 ポイント言葉の定義: 「不測の事態」とは、予想外のアクシデントなど、ネガティブな要素に使われる言葉です 。因果関係の矛盾: 予算審議が遅れた最大の要因は、高市総理が1月の国会冒頭でいきなり解散を宣言し、1ヶ月近く審議が止まったことにあります 。「予見できた」事態:解散時、すでに「年度内成立が難しくなる」と指摘されていました。つまり、現状は「不測(予想外)」ではなく、自らの判断が招いた「予測できた」事態と言えます 。🔶 メディアが世論を「誘導」するリスクNHKが政府の言い分である「不測の事態」という言葉をそのまま使い続けることで、視聴者の中に「予算が成立しないのは異常だ」「反対勢力が止めているのが悪い」という印象が刷り込まれる懸念があります。🔵 他メディアとの比較熊本日日新聞: 「2026年度予算案が月内に成立しない場合の暫定予算案」と、客観的な事実のみを記述 。朝日新聞: 「年度内に成立しない場合に備えて」という過不足ない表現を使用 。宮脇さんは、「熱心なNHK視聴者だからこそ、公共放送が一方的な立場を『自然な表現』として流し続ける効果に恐怖を感じる」と述べ、多角的な視点の欠如を批判します。🔶 今日はここを持ち帰る ~ニュースの「言葉」を見極める5つの視点~出所を確認する: そのフレーズは「事実」か、それとも「誰かの言い分」かを区別します 。言葉の定義に立ち返る: 今回のように「不測(予想外)」という言葉が、実態(自業自得の遅延)と乖離していないか考えます 。比較読みをする: 新聞や他の通信社が、同じ事象をどう表現しているか並べてみます 。「スピード」の裏側を疑う: 審議を急ぐのは国民のためか、それとも政権の「メンツ」や次なる重要法案への布石かを読み解きます 。「タイパ」で政治を見ない: 議論を省くことを「効率的(コスパが良い)」と歓迎する風潮が、民主主義を形骸化させていないか自戒します 。「国論を二分するような問題も、同じようなスピードで押し通そうとする流れが始まっているのではないか。私たちは言葉の魔力に慎重になるべきです」(宮脇利充)🔶 まとめ予算の年度内成立にこだわる高市総理の姿勢には、自身の求心力を示す「メンツ」や、今後の強硬な法案成立に向けた前例作りという思惑が透けて見えます 。メディアがその「物語」をそのままなぞるのではなく、立ち止まって議論の本質を伝えることが、今ほど求められている時はありません。出演:元RKKアナウンサー・宮脇利充さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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「今が幸せ」なら、過去の苦しみも意味を成す――田中慎一朗校長が卒業式の涙に見た、教育の真髄

「今が幸せ」なら、過去の苦しみも意味を成す――田中慎一朗校長が卒業式の涙に見た、教育の真髄

「今が幸せ」なら、過去の苦しみも意味を成す――田中慎一朗校長が卒業式の涙に見た、教育の真髄

――子どもを「大事にする」という言葉の、本当の深さを考える3月、別れと旅立ちの季節を迎えました。熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長は、自校や近隣小学校の卒業式に臨む中で、「子どもを大事にするとはどういうことか」という根源的な問いへの答えを見出したといいます。そこには、大人が用意すべき「心の余白」と、コロナ禍という困難を駆け抜けた子どもたちへの温かな眼差しがありました。聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 「教室が苦手だった少年」が、最後に流した美しい涙先日行われた出水南中学校の卒業式。300人近い卒業生の中に、一人の「やんちゃ」だった男子生徒がいました。彼は以前、教室に入ることも難しく、「式になんて出なくていい」と投げやりな言葉を口にしていた時期もありました。しかし、式を終えて校長室に挨拶に来た彼は、田中校長と握手をした瞬間に激しく泣き崩れました。情緒的な欲求に寄り添う: 全教職員で、彼の言葉を鵜呑みにするのではなく、その背後にある「寂しさ」を理解し、常にそばにいることを徹底しました。本音の吐露: 彼は涙ながらに「もっと教室に入って授業を受けておけばよかった」と口にしました。「大事にする」の結果: 物理的なわがままを許すのではなく、彼の心(情緒的欲求)を満たし続けたことで、この美しい涙へと繋がったのです。🔶 「今が幸せ」であることが、過去を肯定する条件になる小学校の卒業式にも列席した田中校長は、今の卒業生たちが置かれた特殊な環境を振り返ります。彼らが1年生だった春は、コロナ禍の真っ只中。入学式は夏にずれ込み、遠足などの行事も制限され、他学年との交流も絶たれた6年間でした。子どもたちが「なぜ自分がこんな目に」と思うような出来事を経験したとき、それをどう受け止めるべきか。田中校長は一つの結論を導き出しました。「過去の出来事を『自分にとって必要だった』と思えるためには、絶対的な条件があります。それは、『今が幸せであること』です」意味の書き換え: 今この瞬間に幸せを感じていれば、過去の苦しみも「あの経験があったから今がある」と肯定できるようになります。大人の責任: 中学校という新たなステージで、子どもたちが「今、幸せだ」と思える環境を用意することが、彼らの過去をも救うことになります。🔶 「華やかな衣装」よりも、大人が用意すべき「心の余白」近年、小学校の卒業式では華やかな袴や衣装が目立つようになっています。一方で、経済的な事情でそれを用意できない家庭もあり、卒業のステージで如実な「差」が可視化される現状があります。田中校長は、子どもを大事にすることを「豪華な服を着せること」と混同してはいけないと警鐘を鳴らします。表面的な満足を超えて: 華美な装いができるかどうかは、子どもの人生を肯定する本質的な要素ではありません。「隣の子」を想う心: 自分の子が優しく育つためには、隣にいる子も優しくなれる環境が必要です。心の余白: 大人が用意すべきは、子どもが自分の人生を振り返り、他者を思いやれるような「心の余裕(余白)」です。🔶 まとめ:子どもを「幸せ」にするという決意「子どもを大事にする」とは、決して甘やかすことでも、表面的なイベントを飾ることでもありません。それは、一人の人間として正面から向き合い、彼らが「今、自分は幸せだ」と胸を張って言えるような関係性を築き続けることです。卒業式で涙を流したあの生徒のように、大人の温かさに触れた経験は、将来、彼自身が他者に優しく接するための「心の肥やし」となります。「あなたの歩みは絶対に間違っていない」と言い続け、その人生に寄り添う。そんな大人の姿勢こそが、子どもたちを本当の意味で大事にすることに繋がっていくのです。出演:熊本市立出水南中学校校長・田中慎一朗さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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「文系・未経験」の私がAIを相棒に東大で発表するまで――オープンデータが救う、熊本・合志市の公共交通

「文系・未経験」の私がAIを相棒に東大で発表するまで――オープンデータが救う、熊本・合志市の公共交通

「文系・未経験」の私がAIを相棒に東大で発表するまで――オープンデータが救う、熊本・合志市の公共交通

今回のテーマは「オープンデータとAIで地域を救う」です 。ライブ配信ディレクターの斉場俊之さんが、東京大学で開催された公共交通の最前線イベントに登壇。プログラミング未経験の「文系」でありながら、AIを駆使して地域課題の解決に挑んだ、その驚きのプロセスを紐解きます。🔶 「オープンデータ」は社会を動かす共有財産斉場さんは、先週「東京大学」で開催された「公共交通オープンデータ最前線2026」というイベントに参加しました。そこで語られたのは、国や民間が持つデータを無償で公開し、誰でも自由に活用できるようにする「オープンデータ」の可能性です。「データは置いているだけでは役に立ちません。みんなで共有し、新しいサービスを生むことで、暮らしや経済を活性化させる。これこそがオープンデータの目的です」▶ 透明性と効率化: 行政の情報を公開することで、より住みやすい街づくりが可能になる 。▶ 熊本の事例: バス運行情報アプリ「バスきたくまさん」も、公開された運行データを元に作られている 。🔶 AIという“最強の相棒”と挑んだ「駅の案内板」作り斉場さんが解決したかったのは、自身が住む熊本県合志市・御代志駅の課題でした 。人口は10年で1割増えているのに、熊本電鉄の利用者は3割減少。深刻な運転士不足による減便や、激しい渋滞によるバスの遅れが利用者を遠ざけていました。「電車とバスの時間を一目で比較でき、遅れも把握できる案内板が駅にあれば便利になるはず」――そう考えた斉場さんでしたが、プログラミングの知識は皆無でした 。▶ 生成AIとの対話: AIに「こういう案内板を作りたい」と指示し、プログラムのコードを作成してもらう 。▶ 2週間の試行錯誤: AIと「何が間違っている?」「どう解決する?」とキャッチボールを繰り返し、素人でも動くプログラムを完成させた。この「一般人が地域課題にチャレンジするストーリー」は、東大に集まった専門家たちからも大きな手応えを得たと言います 。🔶 バスの遅れから「ショッピングセンターの混雑」を推測イベントでは斉場さんのほかにも、熊本のデータを使ったユニークな発表がありました 。▶ 混雑を回避する知恵: ショッピングセンター周辺を走るバスの遅延情報から、道路の渋滞を察知し、店舗の混雑を推測するサイト 。▶ 行動変容のきっかけ: 「混んでいるから時間をずらそう」という情報を提供し、渋滞を未然に防ぐ試み。「道路を新設するには膨大な時間と維持費(コスト)がかかり、将来の負担になります。それを『知恵と情報』で解決できれば、コストを下げ、未来の負担を減らせるんです」🔶 今日はここを持ち帰る:アイデア一つで地域が変わる5つのヒント「オープンデータ」を探してみる: 私たちの身の回りには、無料で活用できる役立つデータが既に眠っています 。AIは「文系」の強い味方: 技術的な壁はAIが補ってくれる。プログラミングができなくても、指示役(監督)になればいい 。課題を「アイデア」に変換する: 「不便だな」と感じる場所こそ、新しいサービスが生まれるチャンスです 。情報の透明性が行動を変える: 「混雑」や「遅れ」を可視化することで、みんなで渋滞を避けるなど賢い選択ができるようになります 。完璧でなくても「まず作る」: AIとの対話を恐れず、トライ&エラーで形にしてみることが、地域を救う第一歩です。「大切なのはスキルの有無ではなく、アイデアの時代。AIという相棒を連れて、熊本をどんどん変えていけるはずです」🔶 まとめTSMCの進出で活気づくイメージの強い熊本ですが、足元には公共交通の維持という切実な課題があります。斉場さんは「道路を作れば終わりではない。維持費という将来の負担を、知恵で解決したい」と結びました。「技術はAIに任せ、人間はアイデアを出す」。そんな新しい地方創生の形が見えた、東大での発表報告でした。出演:ライブ配信ディレクター・斉場俊之さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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3月のスクリーンは「魔法・ダンス・卓球」の情熱が沸騰!上妻さんが語る新作3本

3月のスクリーンは「魔法・ダンス・卓球」の情熱が沸騰!上妻さんが語る新作3本

3月のスクリーンは「魔法・ダンス・卓球」の情熱が沸騰!上妻さんが語る新作3本

卒業や新生活を控えた3月、映画館には人生の「選択」と「情熱」を描いた物語が揃いました。圧倒的な歌声が響くファンタジー後編、闇社会とダンスが融合した異色作、そして伝説の卓球選手を描くオスカー候補作まで、その見どころを凝縮してお伝えします。🔶 運命に分かたれた魔女たちの結末「ウィキッド 永遠の約束」(3月6日公開)公式サイトはこちら👉 https://wicked-movie.jp/昨年公開された前編に続く、2部作の完結編がついに幕を開けます 。『オズの魔法使い』の裏側に隠された、二人の魔女――エルファバとグリンダの友情の終着点が描かれます。知られざる過去と決別: 「悪い魔女」の汚名を着せられながら戦うエルファバと、「善い魔女」として国の象徴を担うグリンダ。親友だった二人が、運命によって別々の道を歩まざるを得ない切ないドラマが展開します 。歴史的名作へのオマージュ:今作は1939年の映画『オズの魔法使い』へと物語が繋がっていく構成になっており、往年のファンを唸らせる仕掛けが随所に散りばめられています 。圧倒的なキャスト: 舞台出身のシンシア・エリヴォと、世界的歌姫アリアナ・グランデ。二人の豪華共演による歌声は、物語の深みをより一層引き立てます 。🔶 「暗殺者×ダンス」という衝撃の融合「スペシャルズ」(3月6日公開)公式サイトはこちら👉 https://eiga-specials.com/『ミッドナイトスワン』や『ナイトフラワー』を手がけた内田英治監督による、ジャンル分け不可能なエンターテインメント大作です 。奇想天外なプロット: 闇社会の黒幕を暗殺するため、殺し屋たちが「ダンス大会」に潜入。孫娘を溺愛する標的を狙うため、彼らはダンスを習得し大会出場を目指します 。全身で魅せる「本物のダンス」: 出演は**佐久間大介(SnowMan)**さん、椎名桔平さん、小沢仁志さんら超豪華。カットを割らず全身を映し出す撮影手法は、代役なしで挑んだキャスト陣の熱量と、本格的なミュージカル映画への敬意を感じさせます。熊本ゆかりの才能にも注目: ダンスを教える少女役の金浦ちゃんや、ターゲットの孫娘役を演じる熊本出身の平川柚希さんのキレのあるダンスも見どころです 。🔶 卓球に捧げた波乱万丈の半生「マーティ・シュプリーム 世界をつかめ」(3月13日公開)公式サイトはこちら👉 https://happinet-phantom.com/martysupreme/1950年代に実在した伝説の卓球選手をモデルに、世界を掴もうともがく男の姿を描きます 。ティモシー・シャラメの新境地: 主演のティモシー・シャラメは今作で見事にゴールデングローブ賞を受賞。やんちゃで複雑なキャラクターを魅力的に演じ、卓球シーンでも驚異的な努力を見せています 。東京が舞台のクライマックス: 世界選手権が東京で開催される設定となっており、日本でのロケシーンも登場します。ライバルの日本人チャンピオン役として、実際にトヨタ自動車に所属する卓球選手・川口聖司さんが出演している点も注目です 。アカデミー賞13部門ノミネート:3月15日(現地時間)の発表を控え、衣装やメイクなどの美術面でも高い評価を得ている本作。オスカー争いの最有力候補として見逃せません 。🔶 まとめ:見終わった後に「ずっしり」と残る体験を「今月の新作は、どれもキャラクターの内面の変化が丁寧に描かれています。単なるエンタメに留まらず、見終わった後に人生について考えさせられる作品ばかりです」(上妻さん)エンターテインメントの枠を超え、人間ドラマとしても一級品の作品が揃った3月。春の訪れとともに、映画館で特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。#ティモシーシャラメ #アリアナグランデ #椎名桔平 #小沢仁志 #佐久間大介 #シンシアエリヴォ #SnowMan

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「法律違反ではない」で済ませていいのか?――高市総理の1,000万円カタログギフトが問う政治の品格

「法律違反ではない」で済ませていいのか?――高市総理の1,000万円カタログギフトが問う政治の品格

「法律違反ではない」で済ませていいのか?――高市総理の1,000万円カタログギフトが問う政治の品格

本日のテーマは「政治とカネ」の新たな火種です。高市早苗総理大臣が、衆議院選挙での当選祝いとして同僚議員315人に総額約1,000万円のカタログギフトを贈ったことが波紋を広げています。宮脇利充さんは、「形式上の合法性」の裏に隠された、三権分立の形骸化や政治資金の本質的な問題を鋭く指摘します。🔶 「政党支部」という隠れみの――石破前総理との決定的な違い今回の問題は、高市総理が代表を務める「自民党奈良県第2選挙区支部」から支出された点にあります。個人から政治家への寄付を禁じる政治資金規正法の網を、組織を介することで回避した形です。宮脇さんは、ちょうど1年前(2025年3月)に石破前総理が「ポケットマネー」から商品券を渡し、謝罪・返却に追い込まれた事例を挙げ、その「差」を読み解きます。🔵 ポイント実態は「個人」の贈り物?: カタログギフトののし紙には「お祝い 高市早苗」と個人名が記されており、支部と本人の一体化が露呈しています。税制優遇の趣旨: 政党支部は、党の主張を国民に広める活動のために税制優遇を受けています。同僚へのお祝いがその趣旨にかなうのか、強い疑問が残ります。🔶 「財布は一つ」――政党交付金19%の重み高市総理は「政党交付金(税金)からは支出していない」と釈明していますが、宮脇さんは収支報告書のデータからその矛盾を指摘します。奈良県第2選挙区支部の収入のうち、政党交付金(国民1人当たり250円が原資)は約19%(3,373万4,800円)を占めています。🔵 ポイントお金に色はついていない: 寄付金が8割を占めるとはいえ、同じ口座で管理されていれば、税金が「贈り物」の一部になっていないと証明するのは困難です。国民感情との乖離: 物価高に苦しむ有権者をよそに、高級グルメやスパ体験が選べるカタログギフトを贈り合う姿は、「誰のための政治資金か」という不信感を募らせます。🔶 失われる「三権分立」の緊張感内閣総理大臣(行政権の長)が、衆議院議員(立法権の構成員)に多額の贈り物をすること。これは単なるマナーの問題ではなく、憲法の精神に関わる事態だと宮脇さんは説きます。🔵 ポイント独立性の担保: 予算審議を控える中での贈り物は、立法府の行政に対する監視機能を鈍らせ、緊張感を損なう恐れがあります。立場の使い分け: 自民党総裁と内閣総理大臣、それぞれの顔を都合よく使い分ける「政治の慣習」に、改めてメスを入れる必要があります。🔶 「政治には金がかかる」の正体裏金問題の際、多くの議員が口にした「政治には金がかかる」という言葉。今回の1,000万円のプレゼントは、その「かかっている金」の行き先を象徴しています。1994年の政党交付金導入時、細川護熙元総理や河野洋平氏が目指した「企業・団体献金の廃止」という理想はいま、完全に形骸化しています。🔶 今日はここを持ち帰る:政治資金を見極める5つの視点「合法」=「妥当」ではない: 法律の穴を突いた支出ではないか、国民の常識に照らして判断します。支出の「名目」と「実態」: 組織名での支出であっても、のし紙の名義のように「誰の手柄」になっているかを確認します。財布の内訳を知る: 政党交付金(私たちの税金)が混ざった資金が、何に使われているかに敏感になります。三権分立の視点: 権力者同士の過度な「ねぎらい」が、公的な監視機能を弱めていないかを注視します。新人議員の志を問う: 研修会で疑問の声すら上がらない現状に、有権者が「それはおかしい」と声を届け続けることが重要です。「カタログギフトでウナギを選ぶ前に、物価高に苦しむ国民の食卓を思い浮かべるべきです」(宮脇利充)🔶 まとめ政治資金は、自らの権力を維持するためではなく、国民のために使われるべきものです。宮脇さんは、高市総理のこの行為を「昭和の中小企業の親父のようなねぎらい」と片付けるのではなく、現代の民主主義における「公私混同」の危うさとして捉え直すべきだと結びました。出演:元RKKアナウンサー・宮脇利充さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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マラソンの「痛み」で見えた、子どもたちの“歩み”

マラソンの「痛み」で見えた、子どもたちの“歩み”

マラソンの「痛み」で見えた、子どもたちの“歩み”

――田中慎一朗校長が振り返る「熊本城マラソン」と教育への想い2026年2月15日、早春の風が吹く中で開催された「熊本城マラソン」。熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長も、一人のランナーとしてスタートラインに立っていました。しかしその裏側には、当日の朝に起きた「まさかの事態」と、リタイアしたからこそ見えた「大切な気づき」がありました。聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 スタート直前の「ぎっくり腰」という試練田中校長にとって、マラソンは「大嫌いなのに、なぜか申し込んでしまう」という不思議な挑戦です。今回も万全を期して新調したシューズと共に準備を進めていましたが、大会当日の朝、激痛が彼を襲いました。「歯を磨きながら、体調不良で出た咳にむせてしまったんです。その瞬間、腰に激痛が走りまして……。まさかの場所でのぎっくり腰でした」歩くのもやっとの状態でしたが、田中校長は諦めませんでした。▶ 痛み止めを飲み、少し体が動くようになるまで横になる▶ 「せっかくの権利、スタートラインに立たなければ」という強い想い▶ 自転車で滑り込むようにしてスタート地点へ執念でレースを開始した田中校長は、10キロ、15キロと順調にペースを刻みます。しかし、20キロを過ぎたアクアドーム付近で、腰の痛みと喘息のような症状が重なり、限界を迎えます。🔶 22キロ地点でのリタイア、そこで目にした「走る姿」川尻の町並みを抜け、温かい応援を受けながらも、田中校長は第3関門(約22キロ地点)でリタイアを決断します。「勇気ある断念」でしたが、その場で目にした光景が、教育者としての心に強く響きました。「私の目の前で、関門が閉まってしまったんです。でも、その後ろを走っている人たちがいました。明らかに次の関門には間に合わない、失格が決まっている状況なのに、それでも走るのを止めないんです」▶ 制限時間に間に合わないと分かっていても、歩みを止めない▶ 「最後まで力を出し切りたい」という、目に見えない価値▶ 誰もいない道の先を見つめて走り続ける姿「完走できなかったから意味がない」のではなく、その一歩一歩にこそ価値があるのではないか――。田中校長は、その姿を今の受験生や、悩みの中にいる子どもたちの姿に重ね合わせました。🔶 「つらい」は、人生を前に進めている証拠田中校長は、いま苦しい状況にある子どもたちへ、自身の経験を通したメッセージを送ります。「勉強がつらい、学校に行けなくて苦しい。そう思っている子もいるでしょう。でも、『つらい』『きつい』と感じるのは、あなたが足を前に出している証拠なんです」勉強もマラソンも、止めれば楽になります。▶ 止まれば痛みは消えるが、前には進めない▶ 苦しさを感じていること自体が、人生を前に進めている証明▶ たとえ家の中にいたとしても、葛藤しているならそれは「前進」である「つらさや痛みは、あなたが自分の人生を切り拓こうとしている証拠。だから、その歩みを否定しないでほしいんです」🔶 「伴走者」として子どもたちに寄り添う田中校長は、自分自身がボロボロになって走ったからこそ、改めて「寄り添う」ことの意味を再確認したと語ります。「一緒に走っていると、隣の人の痛みが自分のことのように分かるんです。声には出さなくても、『つらいよね、もうちょっと頑張ろうか』と心の中で会話しているような感覚。教育も同じだと思うんです」学校という現場で、校長として、教師として、どう子どもたちと向き合うべきか。▶ 「あなたの歩みは絶対に間違っていない」と言い続ける▶ きつい状況でも進める力を持っていることを信じる▶ 成功や結果だけでなく、その過程にある「痛みを伴う歩み」に寄り添う「どんなにきつくても、あなたは前に進んでいる。その力があることを忘れないでほしい」リタイアという苦い経験を、子どもたちの未来への力強いエールに変えた田中校長。来年の再挑戦に向けた意欲とともに、教育現場での新たな決意を語るお話でした。

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ライブ配信ディレクターが振り返る“戦後最短”の衆院選――デジタル時代に再発見した「紙媒体」の価値

ライブ配信ディレクターが振り返る“戦後最短”の衆院選――デジタル時代に再発見した「紙媒体」の価値

ライブ配信ディレクターが振り返る“戦後最短”の衆院選――デジタル時代に再発見した「紙媒体」の価値

――時間と情報をどう積み上げ、未来へつなぐかライブ配信ディレクターの斉場俊之さんが、戦後最短となった今回の衆院選を振り返ります。デジタル戦略の専門家でありながら、斉場さんが今回最も注目したのは、意外にもアナログな「選挙公報」でした。聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 「生活の基盤」はどこへ? 争点の偏りへの違和感今回の選挙戦、熊本県内(1区〜4区)では自民党が全議席を維持する結果となりました。斉場さんは一有権者として、議論の「中身」に物足りなさを感じたと語ります。「私は常に『地方の公共交通問題』を最大の関心事にしていますが、今回の争点は物価高対策と国のあり方(外交・外国人政策)に終始してしまいました 」地方創生や、暮らしを支えるインフラの議論が置き去りにされたのではないか――。斉場さんは警鐘を鳴らします。▶ インフラの老朽化: 埼玉県八潮市の道路陥没事故のようなリスクへの備え▶ 深刻な人手不足: 物流や福祉など、現場を支える人々への手当て▶ 税のあり方: 社会保障財源である消費税を、安易に取り崩す議論だけで良いのか「今困っている物価高への対策はもちろん必要ですが、将来のためにコツコツ積み上げるべき予算まで削り合っている状況には疑問を感じました 」🔶 超短期決戦が招いた「SNS発信のトーンダウン」ライブ配信のプロとして、各候補者のネット戦略にも注目していた斉場さん。しかし、16日間という超短期決戦の影響は顕著でした。「準備時間が足りず、SNS発信がまばらになったり、Webサイトが更新されない候補者が目立ちました。結局、街頭で名前を連呼する旧来のスタイルが精一杯だったのでしょう」そんな中、ネット戦略で対照的な動きを見せたのが新興勢力です。▶ チームみらい: 初の衆議院議席獲得。着実なネット戦略が成果に結びついた▶ 参政党: 議席を伸ばしたものの、ネット上の熱量に対しては評価が分かれる形に「平等なスタートラインに立ちにくい超短期決戦は、SNSでの深いメッセージ発信を難しくしてしまいました」🔶 「同じ公約」への驚き――選挙公報から見える“個”の欠如斉場さんが今回、最も驚いたと語るのが「選挙公報」です。特に参政党の各区候補者が掲載した内容に、強い違和感を覚えたと言います。「1区から4区までの候補者が、写真とプロフィール以外、全く同じ内容のものを掲載していました。政党の考えが一致しているのは素晴らしいことですが、地域の実情をどう汲み取るかが抜け落ちています」▶ 地域代表としての言葉: 3区なら3区の、4区なら4区の課題に対する解決策を語るべき▶ アウトプットの力: 限られた紙面で自分をどう出すかは、国会でどう力を発揮できるかに直結する「『代議士』である以上、政党の考えを自分なりに噛み砕き、地域のためにどう反映させるのかを自分の言葉で見せて欲しかったですね」🔶 フェイクと誹謗中傷の時代だからこそ「紙」が光るITの最前線にいる斉場さんが、最後に強調したのは「紙媒体」の圧倒的な価値でした。「ネットは便利ですが、フェイク動画や誹謗中傷合戦に溢れ、正しさの判断に疲れ果ててしまうのが正直なところです 」それに対し、新聞に折り込まれる選挙公報などの紙媒体には、デジタルにはない3つの強みがあります。不変性: 後から書き換えたり、消したりすることができない検証可能性: 当選後、掲げた公約を守っているか証拠として残る信頼の礎: 情報が移ろいやすい時代だからこそ、変わらない情報の「礎」が必要🔶 次の世代へ「正しい選択」を渡すために「日本も熊本も今、大きなうねりの中にいます。だからこそ浮足立つことなく、未来を着実に積み上げていく政治を期待したい。私たち有権者も、一時の感情ではなく残された情報をしっかり見極める力を持つべきです」デジタルの速さと、アナログの確かさ。その両方を使い分けながら、当選した政治家たちがどう動くのかを監視し続けること。それが、次の世代に誇れる社会を渡すための、私たちの責任だと感じさせるお話でした。出演:ライブ配信ディレクター・斉場俊之さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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2月は“絆と再生”の物語が豊作 上妻祥浩さんが語る注目の新作4本

2月は“絆と再生”の物語が豊作 上妻祥浩さんが語る注目の新作4本

2月は“絆と再生”の物語が豊作 上妻祥浩さんが語る注目の新作4本

――大切な人との「別れ」と、その先に見える「光」 映画解説研究者の上妻祥浩さんが、2月公開の注目作を語りました。 今月のテーマは「最期の時間、そして家族の形」。大ヒット作『おくりびと』を彷彿とさせる感動作から、熊本・天草ロケが光るハリウッド作品まで、心に深く刻まれる4作品が揃いました。 聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 最期の想いをつなぐ「ほどなく、お別れです」 (2月6日公開)公式サイトはこちら👉 https://hodonaku-movie.toho.co.jp/浜辺美波さんと目黒蓮さんの豪華ダブル主演で贈る、葬儀の場を舞台にした物語。亡くなった人の姿が見え、会話ができる特殊な能力を持つヒロインが、目黒さん演じる葬祭プランナーにスカウトされ、インターンとして働き始めます。▶ 事故や病で突然訪れる「死」にどう向き合うか▶ 遺された家族が抱える“隠しごと”や“想い”をどう繋ぐか▶ 自分自身や大切な人の「最期」を考える前向きなきっかけに「葬儀というタブー視されがちな場を、寄り添いと再生のドラマとして描いています。特報映像だけでも胸に迫るものがあります」(上妻さん)🔶 天草の美しい光景がスクリーンに「レンタル・ファミリー」 (2月27日公開)公式サイトはこちら👉 https://www.searchlightpictures.jp/movies/rentalfamily『ザ・ホエール』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザー主演。日本で暮らす落ち目の米俳優が、家族の代役を演じる「レンタル・ファミリー」の仕事を通じて、自身の孤独と向き合い成長していく物語です。▶ 全編日本ロケ。後半は熊本・天草が舞台▶ 柄本明さん演じる登場人物の出身地として天草が登場▶ 嘘から始まる「思いやりの連鎖」を描くヒューマンドラマ「熊本ナンバーの軽トラに揺られるブレンダン・フレイザーと柄本明さんという、シュールながらも美しい光景は見逃せません。天草のありのままの自然が実に見事に撮られています」(上妻さん)🔶 江戸の芝居小屋で真実を追う「木挽町のあだ討ち」 (2月27日公開)公式サイトはこちら👉 https://kobikicho-movie.jp/直木賞受賞作の待望の映画化。柄本佑さんが、ある仇討ちの真相を探る侍を演じます。(父・柄本明さんの出演作と同日公開という「柄本ファミリー」の共演も見どころです)。銀座の芝居小屋のそばで起きた、美談とされる「仇討ち」。しかしその裏には……。▶ ミステリー小説を読み進めるような、二転三転する鮮やかな展開▶ 堤真一さんをはじめとする豪華キャストが彩る江戸の情緒▶ 真実が明らかになった後の、爽やかで深い感動「のらりくらりと話を聞きながら、核心に切り込む佑さんの演技が絶品。見終わった後の余韻が素晴らしい、極上のエンターテインメントです」(上妻さん)🔶 葛藤と愛情のロードムービー「ぼくが生きている、ふたつの世界」 (2月27日 熊本市男女共同参画センターはあもにいにて上映)詳しくはこちら👉 https://harmony-mimoza.org/hall_saiji/hall-other/202601171592吉沢亮さんが主演を務め、耳の聞こえない両親のもとで育った息子(CODA:コーダ)の葛藤と絆を描きます。 ▶ 音のない世界と、聞こえる世界の間で揺れ動く繊細な心理▶ 通訳という役割を超えた、親子としての深い愛情▶ 吉沢亮さんの静かながらも熱い演技が光る名作「家族だからこそぶつかり、分かり合いたいと願う姿に心が震えます。今回の特別上映会は、ぜひ多くの方に足を運んでいただきたい一作です」(上妻さん)🔶 “いま”を大切に生きるためのメッセージ「今月の4作品に共通しているのは、人と人との『接点』の尊さです。 お葬式、レンタル家族、仇討ちの裏側、そして親子の絆。形は違えど、誰かを想う気持ちの美しさが描かれています」(上妻さん)寒い冬、映画館の暗闇の中で、 誰かを大切に想う温かな“ひかり”を受け取ってみてはいかがでしょうか。#浜辺美波 #目黒蓮 #柄本佑 #柄本明 #ブレンダンフレイザー #吉沢亮

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名字は誰のもの?「選択的夫婦別姓」から見える国家と個人の距離感

名字は誰のもの?「選択的夫婦別姓」から見える国家と個人の距離感

名字は誰のもの?「選択的夫婦別姓」から見える国家と個人の距離感

本日のテーマは「選択的夫婦別姓」です。衆議院議員選挙では物価高や税制が注目されがちですが、その影で語られるこの問題は、実は「国家が個人の自由をどこまで制約していいのか」という人権の本質を突いています。宮脇利充さんが、各党の公約や世論のデータをもとに、いま私たちが考えるべき視点を整理します。🔶 30年間動かない制度――政治の停滞と「廃案」の現実1996年に法制審議会が導入を答申してから約30年。選択的夫婦別姓制度はいまだ実現していません。昨年の通常国会では20数年ぶりに審議が行われたものの、各党の思惑が絡み合い、衆議院解散に伴って再び「廃案」となりました。宮脇さんは「これは単なる制度論ではなく、幸福追求権という国民の基本的な権利を国家がどう扱うかという問題だ」と指摘します。🔵 各党の立ち位置(衆院選公約より)導入に前向き: 立憲民主党、公明党、国民民主党、日本共産党、れいわ新選組慎重(通称使用の法制化に留める): 自由民主党、日本維新の会反対: 参政党、日本保守党🔶 世論調査で見える「賛成多数」と「男女の温度差」複数の世論調査では、いずれも「選択的」な別姓導入を支持する声が過半数、あるいは反対を大きく上回っています。男女共同参画学協会連絡会調査: 67.2%が賛成日本財団「18歳意識調査」: 47.6%が別姓を選べるようにすべきと回答(現状維持は20.5%)連合(日本労働組合総連合会)調査: 46.8%が「選択できる方が良い」と回答注目すべきは、賛成者の多くを女性が占めている点です。現在、結婚時に「夫の姓」に変える夫婦は約95%。宮脇さんは、自身の経験を振り返り「男性側は『当たり前』として名字を変える苦労やキャリアへの支障をリアルに考えてこなかったのではないか」と自省を込めて語ります。🔶 「伝統」か「人権」か――反対論の根拠を問い直す 法務省のホームページにも紹介されている反対意見についても、宮脇さんは冷静に分析します。🔵 ここを深掘りする「日本の伝統」という誤解:夫婦同姓が義務付けられたのは1898年(明治31年)の明治民法から。歴史的に見ればわずか128年ほどの制度であり、「古来からの伝統」とは言い切れません。「家族の一体感」の行方:「同姓でなければ一体感が損なわれる」という意見に対し、宮脇さんは「では、世界で唯一、同姓を義務付けている日本以外の国々には、家族の一体感がないのでしょうか」と問いかけます。🔶 世界で「日本だけ」という異常事態法務省の資料によれば、法的に夫婦同姓を義務付けている国は、現在確認されている限り世界で日本だけです。他の国々では、別姓、同姓、あるいは結合姓など、多様な選択肢が認められています。🔶 今日はここを持ち帰る:1票を投じるための「人権」チェックリスト「選択的」の意味を正しく知る: 同姓がいい夫婦は同姓を選べる。「自由を広げる」制度であり、誰かに強制するものではないことを再確認します。手続きの負担を想像する: 運転免許、パスポート、銀行口座、マイナンバー。名字を変える側の煩雑なコストに想像力を働かせます。キャリアの継続性: 研究者やビジネスの世界で、積み上げた実績(氏名)が途切れることの不利益を「個人の問題」で片付けない。他者の自由を認める: 公共の福祉に反しない限り、個人の生き方は尊重されるべきという「憲法の精神」に立ち返ります。国家の姿勢を見る: 個人のアイデンティティである「名前」を国家がどう捉えているか。その姿勢は他の表現の自由や思想信条の自由への態度とも直結しています。「自分の中にある当たり前(思い込み)を疑い、他者の生きづらさに耳を傾ける。そこから社会の多様性が始まります」(宮脇利充)🔶 まとめ「物価高だから、不景気だから、人権問題は後回しでいい」のか。宮脇さんは、この問題への態度こそが、その政党や候補者が「個人の尊厳」をどれだけ重んじているかのリトマス試験紙になると語ります。明治以来の制度を思考停止で守るのか、それとも現代の生き方に合わせてアップデートするのか。次の一票を投じる前に、自分自身の「名前」への思いから考えてみたいテーマです。出演:元RKKアナウンサー・宮脇利充さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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正義のつもりの“袋叩き”が、社会を後退させる

正義のつもりの“袋叩き”が、社会を後退させる

正義のつもりの“袋叩き”が、社会を後退させる

――田中慎一朗校長が語る、SNS動画拡散と「プロセスの保障」年末年始、SNS上で中高生による暴力動画が相次いで拡散され、大きな波紋を呼びました。 激しい非難、投稿者の特定、住所のさらけ出し――。「悪いことをしたのだから当然だ」という世論が渦巻く中、熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長は、「その『正義』のあり方が、実はさらなる悲劇を生んでいないか」と静かに問いかけます。 聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 「事実(Fact)」は一つ、「真実(Truth)」は人の数だけある事件が起きると、私たちは映し出された映像だけを見て、すべてを分かったつもりになりがちです。しかし田中校長は、物事には二つの側面があると言います。「警察が調べるのは、いつ、どこで、誰が何をしたかという『事実』です。 しかし、その背景にある文脈やストーリーといった『真実』は、そこにいた人の数だけ存在します」映像に映っていない場所で、何が起きていたのか。▶ なぜその行為に至ったのかという背景▶ その場にいた他の子たちは何を思っていたのか▶ 映像を拡散させた側の意図は何だったのか「目に見える断片だけで『徹底的に懲らしめろ』と袋叩きにすることは、果たして正義なのか。その攻撃自体が、また別の暴力になってはいないでしょうか」🔶 「手続き保障」こそが、私たちが安心して生きるための砦田中校長が強調するのは、未成年であっても「法的な手続き」を正しく経ることの重要性です。「やったことに対しては、司法の場で、未成年であれば少年法などの手続きに基づき、きちんとした処遇が決定されるべきです。それが法治国家のルールです」SNSによる私刑(個人の特定や個人情報の晒し)は、この「手続き」を無視した行為です。▶ 一方的な決めつけは、弁明や事実確認の機会を奪う▶ 晒された側が世の中に恨みを持ち、根本的な解決から遠ざかる▶ 「ばれないようにやる」という、より陰湿な思考を植え付ける「『手続き保障』があるからこそ、私たちは安心して生きていけます。それを無視して誰かを攻撃することは、回り回って自分たちの首を絞め、世の中を不安定にしていくことにつながるんです」🔶 心理学「プロセスワーク」から見る、役割(ロール)の入れ替わり田中校長は今、大学で「紛争解決学」を学ぶ中で、心理学者アーノルド・ミンデルが提唱した「プロセスワーク」という考え方に注目しています。そこで語られるのは、「加害者」や「被害者」という役割(ロール)は、固定されたものではないということです。「いじめている子が、別の場所では誰かにいじめられているかもしれない。 家庭での虐待や、社会からの抑圧に苦しんでいるかもしれない。そう考えると、動画で加害者に見える子も、ある側面では『社会からいじめられている被害者』の役割を担っていることがあるんです」役割はぐるぐると動き回ります。▶ 加害者が、SNSのバッシングによって過剰な被害者になる▶ 正義を振りかざす視聴者が、無自覚に加害者へと転じる▶ この連鎖が続く限り、問題の根本は解決せず、悲劇は繰り返される「その子個人の問題として切り捨て、『自分の側には問題がない』と断定してしまうのは非常に危険です」🔶 「犯人探し」ではなく「構造」に目を向ける事件が起きるたびに、「家庭教育が悪い」「学校は何をしていた」と、誰かを責めることで決着をつけようとする風潮があります。しかし、田中校長は「誰かに問題を落とし込む(押し付ける)こと」をやめるべきだと訴えます。「なぜ子どもたちが動画を拡散させてしまうのか。なぜ暴力を止めることができなかったのか。その『構造』そのものに、みんなで関心を持つべきなんです」▶ 特定の個人を責めて終わらせない▶ 「モヤモヤ」をみんなで抱えながら、解決の姿勢を探る▶ 大人が自分の襟を正し、子どもにどんな社会を見せるべきか考える「子どもは大人の背中を見ています。 大人がSNSで誰かを袋叩きにする姿を見せながら、子どもに『暴力を振るうな』『いじめをするな』と言っても、説得力はありません」教育の現場でも、家庭でも、そして社会全体でも。 簡単な「犯人探し」に逃げるのではなく、私たちが作るこの社会が、子どもたちをどう形作っているのか。もう一度、謙虚に見つめ直す勇気が求められています。

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2026年は公共交通強化元年!? さいばの公共交通アップデート

2026年は公共交通強化元年!? さいばの公共交通アップデート

2026年は公共交通強化元年!? さいばの公共交通アップデート

「2026年は公共交通強化元年!?」をテーマに、ライブ配信ディレクターの斉場俊之さんが、熊本の交通政策に起きている“ギアチェンジ”を読み解きました。聞き手は江上浩子(RKK)です。斉場さんが注目したのは、年末の報道番組インタビューで、熊本市長と熊本県知事が公共交通を最前面に置き、しかも呼吸を合わせるように語ったこと。交通は市の境界線だけでは解けない課題だからこそ、県と市が同じ方向を向く意味は大きい——そんな問題意識から話が始まりました。🔶なぜ今「公共交通強化元年」なのか年末年始は、政治リーダーが「今年の抱負」を語る季節です。斉場さんは、その抱負の中で**“公共交通”が真っ先に出てきた**点を重く見ます。▶ 熊本市長が「公共交通を、県知事と徹底的にやりたい」と明言▶ 県知事が翌日、「2026年を強化元年に」と受けて返した斉場さんの見立てはこうです。交通渋滞や移動の課題は、熊本市だけで完結しません。周辺自治体や県全体、そして交通事業者と一緒に動かないと、血流(=移動)が滞ったままになる。だからこそ、県と市が“同じ言葉”で踏み込んだことが、合図として強い。🔶注目ポイント:県と市が「言い切った」ことのインパクト政治の言葉は、ときに曖昧になりがちです。ところが今回は、斉場さんいわく「どちらにも取れる話」ではなく、方向性をはっきり言い切った。▶ 「徹底的にやる」=“市だけではなく県と組む”前提の宣言▶ 「強化元年」=県民に向けた、年単位の旗印ここで生まれるのは期待だけではありません。期限や旗を立てた以上、市民・県民のチェックの目も厳しくなる。実行できなければ反動も大きい——斉場さんは、そこまで含めて「緊張感がある」と見ています。🔶熊本市の新提案「運輸連合」とは何か斉場さんが「さらにギアチェンジを感じた」と語ったのが、熊本市議会の特別委員会で示されたという「運輸連合」の提案です。ポイントは、交通を「民間任せ」だけにしない発想。▶ 路線や本数、運賃などを、行政と事業者が協議し一体的に運営する▶ “採算が苦しいから減便・値上げ”の連鎖を、地域全体の設計で止める▶ 必要な移動を「公共サービス」として、持続可能な形に組み直す斉場さんが評価したのは、提案そのものに加えて、資料に「これまでの取り組みの限界」や「根本解決ができていない」ことを明記していた点です。まず現状を認め、そのうえで仕組みを変える——ここに、これまでと違う手触りがある、と。🔶市電は「期限つきメニュー」へ:三連接車・増便・信用乗車交通の“目に見える変化”として語られたのが市電です。斉場さんが挙げた具体策は次の通り。▶ 三連接車の増備(長い車両を増やす)▶ 増便▶ 信用乗車(乗降の仕組みを見直す)▶ しかも「今年度末までに対策を整理」と期限を区切る 20260112104354-0001「いつか頑張ります」ではなく、「いつまでに何を」が見えてきた。これが、2026年を“元年”と呼ぶ空気を支えている——という整理です。🔶期待と注意点:期限を切った改革の光と影斉場さんの話を、賛否両面で並べるとこうなります。利点▶ 期限があると、議論が「実行計画」に落ちる▶ 市民・県民が検証しやすくなる(説明責任が立つ)▶ 交通は複数主体の課題なので、トップの意思が“連携の接着剤”になる欠点▶ 期限だけ先行すると、現場の負担が増えやすい▶ 目標未達のとき、行政不信が強まる▶ 交通は運転手不足・コスト増など外的要因も大きく、調整の難度が高いだからこそ、斉場さんは「期待して見守る」だけでなく、市民側も提案して関わることを呼びかけます。🔶私たちにできること:「主権者の交通」にする交通は“誰かが用意してくれるもの”であると同時に、暮らしの設計図でもあります。▶ 「こうしてほしい」を、言葉にして届ける(意見募集・パブコメ等)▶ 使える区間は公共交通を“実際に使う”(需要が可視化される)▶ 自分の移動も見直す(時間をずらす、乗り換えを試す、選択肢を増やす)血流を良くするには、心臓(行政)だけでなく、体全体(利用者)も一緒に動く必要がある。斉場さんの比喩を借りれば、そんなイメージです。🔶さいごに:斉場さんの2026年目標ちなみに斉場さんの個人目標は、前年に自転車で走った距離を更新して「1万km」。公共交通の話で熱くなったあとに、最後はちゃんと自分にも締切を課す——ここが斉場さんらしい、と思うわけです。🔶まとめ:2026年が“元年”になる条件▶ 県と市のトップが公共交通を前面に出し、連携の意思を言い切った▶ 熊本市は「運輸連合」を提案し、仕組みから組み直す発想を示した▶ 市電は三連接車・増便・信用乗車など、具体策と期限が見えてきた▶ 期限を切った改革は、成功すれば追い風、失敗すれば反動も大きい▶ 市民・県民も「提案と利用」で関わるほど、元年は現実に近づく

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家族の嘘と戦場の95分、そして“禁断”の青春~上妻祥浩さんが語る注目の新作3本

家族の嘘と戦場の95分、そして“禁断”の青春~上妻祥浩さんが語る注目の新作3本

家族の嘘と戦場の95分、そして“禁断”の青春~上妻祥浩さんが語る注目の新作3本

今月公開の映画から、聞き手の江上浩子(RKK)が、ゲストの上妻祥浩さんに「これはぜひ」と推された3本を、放送の空気感は残しつつ、読み物として整理しました。テーマはばらばらなのに、どれも“人が自分を守るために選ぶ行動”が、ちゃんと痛くて、ちゃんと愛おしい。そんなラインでつながっていました。🔶『架空の犬と嘘をつく猫』|1月9日(金)公開まず上妻さんが挙げたのは、日本映画『架空の犬と嘘をつく猫』。タイトルだけで、もう少し胸がざわつきます。犬は“架空”、猫は“嘘をつく”。つまりこの映画、最初から「現実の置き場所」がぐらりと揺れている。物語の核にあるのは、家族が互いを傷つけないためにつく“やさしい嘘”です。けれど、やさしさは時に、嘘の免罪符にもなる。上妻さんが語ったのは、そうした嘘が積み重なっていく30年の時間です。少年だった主人公が大人になり、家族の中で「守るための嘘」と「嘘が生むひずみ」がせめぎ合い続ける。ポイントは、嘘が単なる悪役ではないところ。嘘は人を苦しめもするし、同時に“生き延びるための仮設住宅”にもなる。だからこそ観る側も簡単に断罪できず、むしろ「家族って何だろう」「絆って何だろう」と問いが戻ってくる。嘘って、ちいさくても30年分ためると、だいぶ重い。雪だるまどころか雪崩です。原作は寺地はるなさんの同名小説で、映画は佐賀県(さがけん)の風景の中で撮影されたことも触れられました。主演は高杉真宙さん。共演に伊藤万理華さん、深川麻衣さん、安藤裕子さん、向里祐香さん、安田顕さん、余貴美子さん、柄本明さんらが並び、家族という“逃げられない舞台”を、世代ごとの手触りで支えます。公式サイト:https://usoneko-movie.com/公開日:1月9日(金)🔶2本目:『ウォーフェア 戦地最前線』|1月16日(金)公開2本目は一転して、アメリカ映画『ウォーフェア 戦地最前線』。上妻さんの紹介は明快で、「戦場のど真ん中に、観客を閉じ込めるタイプ」です。共同監督・脚本はアレックス・ガーランドと、米軍特殊部隊出身のレイ・メンドーサ。設定は2006年のイラク、危険地帯ラマディ。特殊部隊の小隊が監視と狙撃の任務で建物に潜伏し、やがて包囲され、逃げ道のない状況に追い込まれる。上妻さんが強調していたのは「過剰に盛らないのに、容赦もしない」という質感でした。序盤は何も起きない“待ち”が続き、その空白が逆に緊迫を増幅する。そして戦闘が始まった瞬間、映画は観客の呼吸まで奪いにくる。現場は混乱し、負傷者が出て、判断は遅れ、パニックが伝染する。映画的に気持ちよく整理されないまま、ただ「戦場はこういう場所だ」と突きつけてくる。この作品は、観終わったあとに軽い感想が出にくいと思います。けれど、上妻さんが言うように、だからこそ“重く受けとめる”価値がある。戦争を「遠い映像」から「近すぎる体験」に引き寄せることで、私たちの想像力の怠け癖を、容赦なく叩き起こします。公式サイト:https://a24jp.com/films/warfare/公開日:1月16日(金)🔶『万事快調〈オール・グリーンズ〉』|1月16日(金)公開3本目は日本映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』。上妻さんの言葉を借りれば、「とんでもない設定なのに、ちゃんと青春映画として成立して、見終わると妙に清々しい」。舞台は田舎町。鬱屈を抱えた女子高校生たちが、現状を抜け出すために“一攫千金”を狙う。そして同好会「オール・グリーンズ」を結成し、学校の屋上で「禁断の課外活動」を始める——公式サイトも、その一線の危うさを隠さずに提示しています。ここで大事なのは、彼女たちが最初から“悪い子”として描かれるわけではない点です。むしろ「どこにも行けない」「変えたいのに変えられない」という閉塞感が先にある。上妻さんが話していたのも、笑いとハラハラが同居しつつ、最後は観る側の心の奥に「わかる、わかるんだよ」と残る感触でした。キャストは、朴秀美役に南沙良さん、矢口美流紅役に出口夏希さんのW主演。岩隈真子役は吉田美月喜さん。公式サイト:https://www.culture-pub.jp/allgreens/公開日:1月16日(金)

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