12分
RKKラジオの『ニュース515+plus』では元RKKアナウンサー宮脇利充さんが出演し、「公共トイレの男女格差」について語りました。多くの施設で女性トイレに長い行列ができる一方、男性トイレはすぐに利用できる――この状況は長年の課題とされながらも、いまだに解決\されていません。その理由と改善の動きについて考察しました。🔶なぜ女性トイレは行列ができるのか?女性トイレの行列について、「女性の方が所要時間が長い」「着衣の調整が必要」などの理由が一般的に考えられてきました。しかし、宮脇さんは「そもそも女性用の便器の数が少ないからではないか」と問題提起しました。実際、調査によると、ほとんどの公共施設では男性用便器の方が圧倒的に多いことが分かっています。男性トイレには個室のほかに小便器がずらりと並び、一度に複数人が利用できますが、女性トイレはすべて個室のため、同じスペースでも利用できる人数が限られてしまいます。🔶全国のトイレの現状この問題に注目したのが、東京の行政書士・百瀬まなみさんです。自身の経験から全国のトイレの男女比を調査し、2023年3月の時点で444カ所のデータを集めました。その結果、男性の便器数は女性の便器数の1.45倍にのぼることが判明しました。さらに、その後の調査でサンプル数は706カ所に増え、最新の集計では1.76倍という差があることが分かりました。鉄道施設ではその差が特に顕著で、首都圏の私鉄各社では男性の便器が女性の2倍近くあることが報告されています。🔶海外の取り組みと日本の動向海外ではすでに男女のトイレ格差を是正する動きが進んでいます。イギリスの公衆衛生庁は「女性のトイレは男性の2倍必要」と提言しており、国際的な人道支援基準である「スフィア基準」では、避難所などのトイレ設置において男女比を1対3にすることを推奨しています。一方、日本では2017年に国土交通省が「女性が輝く社会づくりに繋がるトイレ環境整備」の指針を発表し、トイレの便器数が利用者数に見合っていないことを公式に認めました。2023年には国会でもこの問題が取り上げられ、女性トイレの拡充が求められています。また、山口県萩市では男性用便器と女性用便器の比率を1対2にすることを目標とし、公共施設のトイレを改修しています。このように、少しずつではありますが、日本でも改善の動きが進んでいます。🔶トイレ環境と社会の変化トイレ環境の整備は、単に利便性の問題にとどまらず、社会の変化に適応するためにも重要です。かつては男性が中心の職場や施設が多かったため、トイレの設計も男性優位で行われていました。しかし、現在では男女ともに利用する施設が増え、さらに高齢化社会に対応するための多機能トイレの拡充も求められています。高齢者や障がい者にとって、外出先でのトイレの有無は行動範囲を大きく左右します。「トイレがないから外出を控える」という状況は、健康や社会参加の妨げにもなります。排泄に関する不安が外出の障壁となることを考えると、トイレ環境の整備は高齢者福祉の観点からも非常に重要です。🔶今後の課題と私たちにできること百瀬さんは、「せめて便器の数の男女格差をなくしてほしい」と訴えています。男性用トイレと女性用トイレの面積を平等にするのではなく、女性用の便器数を増やすことが真の公平性につながるという視点が必要です。また、多機能トイレの整備やジェンダーに配慮した設計の推進など、これからの時代に即したトイレ環境の見直しが求められています。公共施設のトイレ設計に関心を持ち、行政の取り組みをチェックすることも、私たちができる一歩といえるでしょう。🔶まとめトイレという身近な問題から、社会の仕組みやジェンダー格差、高齢者福祉まで、さまざまな課題が浮かび上がりました。男女平等の視点を持ちながら、より多くの人が安心して使えるトイレ環境を整えていくことが、快適な社会の実現につながるのではないでしょうか。🔵【ニュース515+Plus】エンタメ・教育・ITの専門家が気になる話題を徹底解説!!【2025年1月】第2金曜日・・・映画解説・研究者上妻祥浩さん第3金曜日・・・ライブ配信ディレクター斉場俊之さん第4金曜日・・・熊本市立出水南中学校校長田中慎一朗さん◎第5金曜日・・・元RKKアナウンサー宮脇利充さん◆WEB https://rkk.jp/515news/◆メール515@rkk.jp★地上波ではRKKラジオ(熊本)FM91.4 AM1197で、毎週金曜日 午後5時15分から放送中。是非生放送でもお聴きください。
詳細情報を見る
ニュース515+plus(RKKラジオ)