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ソラジオトークfrom OKAYAMAへようこそ美星天文台前野です。今回のテーマは、「おすすめの流星群」でしたね。放送回の振り返りとして流星群と呼ばれるものは年間で112個あり、その中でも私のおすすめの流星群は、8月の「ペルセウス座流星群」と12月の「ふたご座流星群」です。どちらも十分暗くなったころに見え始め、夜空が暗い場所では1時間に数十個の流れ星が期待できるためです。さて、夜空には様々な天体があります。今の時期(2月頃)の一番星は木星で、日没後に空の高い位置で明るく輝いています。南東の空には冬の大三角の星があります。オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、そして、こいぬ座のプロキオンの3つで正三角形を作ります。シリウスは星座の星でもっとも明るく、白く輝いています。ベテルギウスはオレンジ色をした星です。とても寒い時期ですが、空気が澄んだ日が多く、また、明るい一等星も多いため、夜空はとても賑やかです。さて、今回は星の一生について、お話をします。星といって思い浮かべるのはどんなものでしょうか?金星や木星は都会でも見える明るい星で、太陽の周りを回る惑星です。望遠鏡を使うと、形や表面の模様を観察でき、美星天文台の夜間公開でも、輪っかのある土星や縞模様が見える木星は人気が高い天体です。惑星は自分で光っているわけではなく、太陽の光を反射しています。このような惑星は岩石やガスが集まっただけのものです。このため、惑星には寿命はありません。一方、星座を形作る星は、全て太陽のように自ら光を発する、恒星です。ここからは、恒星(こうせい)のことを単に、星と言うことにします。星が光輝く主なエネルギーの源は、星の内部で起きている水素の核融合反応です。太陽を始めとする星は、そのほとんどが水素でできていて、その水素を燃料にしています。このため、燃料となる水素がなくなってくると、星として寿命を迎えることになります。ただ、星の重さによって、燃料の消費の仕方が異なります。重たい星ほど燃料の消費が激しく、明るく光る反面、寿命は短くなります。短いと言っても、数百万年、数千万年ですので、私たち人間からすると気が遠くなるような長さです。逆に、軽い星は燃料をそれほど消費せず、そこそこの明るさで、寿命は長くなります。寿命は数億年や数十億年、百億年にもなり、宇宙における時間の長さを感じられそうです。私たちの太陽は比較的軽い星です。太陽は、宇宙の中ではごくありふれた存在です。寿命は100億歳程度と考えられています。現在、46億歳の太陽はあと50億年ほど輝き続けるはずですので、何も心配はいらないですね。ここからは、太陽のような、軽い星の最期について、お話します。星は丸い形をしています。これは星の内部で起きる核融合反応のエネルギーで外側に向かう放射の圧力と、中心に向かって働く重力が釣り合っているためです。(天体が大きくなる、つまり重たくなると、すべての物質がもつ引き合う力も大きくなり、複雑な形を保つことが難しくなるため、星は丸いのです。)ただし、 太陽や地球よりもさらに小さく、重力の弱い小惑星は、丸くはなくじゃがいものようないびつな形をしたものもあるのです。寿命が近づいた星はこのバランスが崩れて、だんだんと大きく膨張していきます。このとき、表面の温度が下がることによって、星の色も赤くなっていきます。赤い色をした大きな星、という意味で、赤色巨星と呼ばれます。(ちなみに星の表面温度の高い順に青色→白色→黄色→赤色となります。)誕生日の星座の一つ、おうし座には、一等星アルデバランがありますが、この星が今、まさにこの赤色巨星の状態です。太陽の数十倍の大きさにもなっています。望遠鏡で見ると、さぞ大きく見えるだろう、と思われるかもしれませんが、残念ながら遠くにあるため、望遠鏡で拡大しても点にしか見えないのです。(距離でいうと、地球からはおよそ67光年離れています。)宇宙のスケールの大きさを実感します。赤色巨星はその後、宇宙空間にガスを放出していきます。遠くから望遠鏡で観察すると、雲が球形に広がっているように見えるため、(惑星のような丸や輪をもつような形にみえるため)惑星状星雲と呼ばれます。そして、白く小さな星だけが残り、これは白色矮星(はくしょくわいせい)と呼ばれます。次に、大きな重い星の最期について、お話します。オリオン座のベテルギウスなどが代表的な天体です。重い星も、軽い星と同様、寿命が近づくとだんだんと大きく膨張していき、表面の温度が下がることによって、赤くなっていきます。ベテルギウスは太陽の直径の700倍程度もある、赤色超巨星(せきしょくちょうきょせい)とも呼ばれる天体です。そして、このような星は最期に大爆発を起こします。超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)です。そのエネルギーは凄まじく、非常に明るく輝きます。仮にベテルギウスが超新星爆発を起こすと、満月並みの明るさになると言われています。街の中でも、また、昼間の青空の中でも星が光って見える、ということになります。その後は次第に暗くなっていき、ついには肉眼では見えなくなります。このため、いずれはオリオン座の形も変わってしまうのです。そんな気になるベテルギウスの爆発ですが、いつ最期を迎えるかは正確には分かっていません。今日かもしれませんし、明日。もしくは、数千年後や数万年後の可能性もあります。ただ、宇宙の長い長い時間の中では、あとわずか、とも表現できそうです。超新星爆発のときには、大量のガスやチリが宇宙空間にばらまかれます。中心には小さく密度の非常に高い星、中性子星(ちゅうせいしせい)や、ブラックホールができます。ここまで、星の一生について、説明してきました。やはり宇宙はスケールの大きな場所です。ところで、星が最期を迎えると、それでお終いなのでしょうか。実はそうではなく、星は最期を迎えて宇宙空間にガスやチリを放出しますが、またそのようなガスやチリが集まって、新たな星の材料になることがあります。そして、星の内部や星の爆発のときには様々な元素が創られます。私たちの体を作る炭素や窒素、酸素、身の回りにある鉄や銅、金などは全て星が創ったものです。最近の研究では、金などの金属は、非常に密度の高い中性子星同士が合体するときの一瞬の爆発によって生まれたとも考えられています。これらが、長い年月と広い宇宙空間の中で再び集まり、星が誕生するときに星の中に取り込まれていきます。私たちの太陽や地球も、そのようにして、およそ46億年前にガスやチリの中から誕生する際、水素を中心に、炭素や酸素、様々な金属などの元素が交じり合ってできたのです。このようにして考えると、星の最期は“新たな星”が生まれるきっかになり、私たちは星から生まれた、“星の子” とも呼ばれる存在とも言えます。肉眼では、星は小さな点で光っているだけにしか見えませんが、望遠鏡を使うと、星が最期を迎えている惑星状星雲や新たに星が生まれている、オリオン大星雲などを観察できます。星にも一生があり、そして、私たち生命や地球も宇宙にある様々な星のおかげでできたことを考えながら、星空を眺め、望遠鏡を覗くと、きっとこれまでと違う見方ができるかもしれません。以上解説は、美星天文台前野でした。
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