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🔶 「嘘も方便」って、本当は仏教用語?丸井:「高千穂さん、今週はどんなお話でしょうか?」高千穂さん:「今週は『嘘も方便(ほうべん)』というテーマです」日常生活でよく聞くこの言葉。「嘘も方便だから…」と軽く使われがちですが、実は仏教に由来する深い意味を持つ言葉なのです。🔶 方便(ほうべん)とは「手段・方法」のこと「方便」は、インドの古代語サンスクリット語で「ウパーヤ(upāya)」という言葉を漢訳したものです。もともとは「接近する」「到達する」といった意味を持つ動詞に由来し、転じて「目的のための手段」を表すようになりました。高千穂さん:「たとえば川を渡るとき、向こう岸に行くには“いかだ”が必要ですよね。でも、川を渡りきったら“いかだ”は必要なくなる。その“いかだ”こそが方便なんです」🔶 仏さまの姿も“方便”浄土真宗では、仏さまのお姿そのものも方便とされています。高千穂さん:「本来、仏さまの姿は私たちには見ることができないものです。でも、阿弥陀さまは私たちにもわかるように、仮の姿をとって目の前に現れてくださる。それが方便なんです」つまり、私たちに教えを届けるために“姿”をもって現れてくださること自体が、仏さまのお慈悲の表れだというのです。🔶 二種類の方便:善巧方便と権化方便仏教には、方便にも種類があります。 1. 善巧方便(ぜんぎょうほうべん) 仏さまや菩薩が、私たちの理解力に合わせて教えを巧みに伝えてくださる“慈悲の手段” 2. 権仮方便(ごんげほうべん)未熟な私たちが真理に直接触れられないため、仮の教えを通して少しずつ導いてくださる方法🔶 金獅子(きんじし)のたとえ:わかりやすく伝える智慧高千穂さん:「わかりやすい例として、『金獅子(きんじし)の比喩』というお話があります」たとえば、子どもに“金の延べ棒”を渡しても価値がわかりません。でもそれを“金のライオン像”にすれば、「ライオンだ!」と喜び、興味を持ちます。丸井:「つまり、教えが伝わる“かたち”に変えてくださるということですね」高千穂さん:「そうです。その“形を変える”ことが方便なのです。たとえ仮の姿でも、本質は“金”=真理であり、お慈悲の心に変わりはありません」🔶 まとめ:方便とは、私たちへの深い思いやり今週は「嘘も方便」というテーマでお届けしました。高千穂さん:「『方便』とは仏教において、“真実の教えを伝えるための仮の手段”を意味します。私たちは本来、仏さまの姿も教えも、そのままでは理解できません。だからこそ、阿弥陀さまは私たちの理解に合わせて、姿や教えのかたちを変えてくださる――それが方便であり、仏さまのお慈悲のあらわれなのです」🔶 次回予告:「お盆」のお話次回は「お盆」をテーマにお話しします。先祖を敬う心、迎え方や意味について、やさしく解説していただきます。どうぞお楽しみに。🔶 あなたのお悩み、聞かせてくださいこの番組では、リスナーの皆さまからのお悩み相談も受け付けています。メールは → goen@rkk.jp までお寄せください。出演お話:仏嚴寺住職・高千穂光正(たかちほ こうしょう)司会:丸井純子今週も最後までお聴きいただき、ありがとうございました。あなたと結ばれたこのご縁に、心より感謝申し上げます。では、また来週お会いしましょう。
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高千穂さんのご縁です。