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――田中慎一朗校長が振り返る「熊本城マラソン」と教育への想い2026年2月15日、早春の風が吹く中で開催された「熊本城マラソン」。熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長も、一人のランナーとしてスタートラインに立っていました。しかしその裏側には、当日の朝に起きた「まさかの事態」と、リタイアしたからこそ見えた「大切な気づき」がありました。聞き手は、RKKの江上浩子です。🔶 スタート直前の「ぎっくり腰」という試練田中校長にとって、マラソンは「大嫌いなのに、なぜか申し込んでしまう」という不思議な挑戦です。今回も万全を期して新調したシューズと共に準備を進めていましたが、大会当日の朝、激痛が彼を襲いました。「歯を磨きながら、体調不良で出た咳にむせてしまったんです。その瞬間、腰に激痛が走りまして……。まさかの場所でのぎっくり腰でした」歩くのもやっとの状態でしたが、田中校長は諦めませんでした。▶ 痛み止めを飲み、少し体が動くようになるまで横になる▶ 「せっかくの権利、スタートラインに立たなければ」という強い想い▶ 自転車で滑り込むようにしてスタート地点へ執念でレースを開始した田中校長は、10キロ、15キロと順調にペースを刻みます。しかし、20キロを過ぎたアクアドーム付近で、腰の痛みと喘息のような症状が重なり、限界を迎えます。🔶 22キロ地点でのリタイア、そこで目にした「走る姿」川尻の町並みを抜け、温かい応援を受けながらも、田中校長は第3関門(約22キロ地点)でリタイアを決断します。「勇気ある断念」でしたが、その場で目にした光景が、教育者としての心に強く響きました。「私の目の前で、関門が閉まってしまったんです。でも、その後ろを走っている人たちがいました。明らかに次の関門には間に合わない、失格が決まっている状況なのに、それでも走るのを止めないんです」▶ 制限時間に間に合わないと分かっていても、歩みを止めない▶ 「最後まで力を出し切りたい」という、目に見えない価値▶ 誰もいない道の先を見つめて走り続ける姿「完走できなかったから意味がない」のではなく、その一歩一歩にこそ価値があるのではないか――。田中校長は、その姿を今の受験生や、悩みの中にいる子どもたちの姿に重ね合わせました。🔶 「つらい」は、人生を前に進めている証拠田中校長は、いま苦しい状況にある子どもたちへ、自身の経験を通したメッセージを送ります。「勉強がつらい、学校に行けなくて苦しい。そう思っている子もいるでしょう。でも、『つらい』『きつい』と感じるのは、あなたが足を前に出している証拠なんです」勉強もマラソンも、止めれば楽になります。▶ 止まれば痛みは消えるが、前には進めない▶ 苦しさを感じていること自体が、人生を前に進めている証明▶ たとえ家の中にいたとしても、葛藤しているならそれは「前進」である「つらさや痛みは、あなたが自分の人生を切り拓こうとしている証拠。だから、その歩みを否定しないでほしいんです」🔶 「伴走者」として子どもたちに寄り添う田中校長は、自分自身がボロボロになって走ったからこそ、改めて「寄り添う」ことの意味を再確認したと語ります。「一緒に走っていると、隣の人の痛みが自分のことのように分かるんです。声には出さなくても、『つらいよね、もうちょっと頑張ろうか』と心の中で会話しているような感覚。教育も同じだと思うんです」学校という現場で、校長として、教師として、どう子どもたちと向き合うべきか。▶ 「あなたの歩みは絶対に間違っていない」と言い続ける▶ きつい状況でも進める力を持っていることを信じる▶ 成功や結果だけでなく、その過程にある「痛みを伴う歩み」に寄り添う「どんなにきつくても、あなたは前に進んでいる。その力があることを忘れないでほしい」リタイアという苦い経験を、子どもたちの未来への力強いエールに変えた田中校長。来年の再挑戦に向けた意欲とともに、教育現場での新たな決意を語るお話でした。
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