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熊本日日新聞(熊日)が報じた、陸上自衛隊の中央情報隊「現地情報隊」による市民情報の組織的収集問題。自衛隊の本来任務を大きく逸脱し、一般人の思想信条や個人的なプライバシーまで無断で収集・保管していたとされる疑惑が浮上し、波紋を広げています。この大スクープの背景にある違法性の懸念や、防衛省の対応、そして文民統制(シビリアンコントロール)の形骸化について、元RKKアナウンサーの宮脇利充氏が解説します。聞き手はRKKの江上浩子です。熊日スクープが明かした実態――海外派兵用部隊による「目的外」の市民調査問題となっている「現地情報隊」は、国連平和維持活動(PKO)などで自衛隊が海外派遣される際、現地での安全確保や情報収集を担う目的で2007年に発足した部隊です(本部は朝霞駐屯地)。しかし、熊本日日新聞の取材に応じた元自衛隊員の証言により、本来の目的とは全く異なる大規模な市民調査が行われていた実態が明らかになりました。無断で集められた「41項目」の詳細情報自衛隊が派遣先として想定する地域に詳しい大学教授や有識者、NPO法人関係者などの一般人を対象に、氏名や住所だけでなく、愛国心や対自衛隊感情といった「思想信条」、さらには交友関係、資産・負債、性的指向、身体的特徴など41項目に及ぶ個人情報が本人の同意なく収集されていました。収集されたデータは数千人から、インターネット調査等を含めると数万人規模に上る可能性が指摘されています。公文書非開示を狙った組織的隠蔽の疑い取材に応じた元隊員は「出したらまずいという認識は隊員全員にあった。大臣も知らないだろう」と語り、意図的に公文書として扱わず、情報公開請求を逃れる形で朝霞駐屯地に保管していた疑いがもたれています。これは行政文書の管理を定めた法律や個人情報保護法に違反する可能性が極めて高い行為です。内部告発の放置と、防衛省・大臣の不誠実な答弁この問題に対しては、すでに自衛隊内部からも自浄作用を求める声が上がっていました。握り潰された公益通報2025年2月、部隊関係者から当時の答弁責任者である中谷元防衛大臣に対し、この活動が違法であるとして公益通報がなされていました。しかし陸上幕僚監部は「事業化された任務の範囲内」として通報を受理せず、公文書管理法違反の疑いについてのみ受け付けたものの、現在に至るまで調査結果の報告はなされていません。小泉防衛大臣の対応と文民統制の危機小泉防衛大臣は記者会見で「現時点で不適切な活動が行われたことは確認されていない」「出所が確認できない文書を前提とした答弁は控える」といった姿勢に終始しています。軍の暴走を防ぎ、政治が自衛隊を適切に統制する「文民統制(シビリアンコントロール)」の観点から見れば、大臣の知らないところで部隊が独断で市民の情報を集め、隠蔽していたこと自体が巨大な組織的問題です。監督すべき立場の大臣が事実関係の解明から目を背ける姿勢には、大きな疑問が残ります。大手メディアの沈黙と、地方紙・朝日新聞による追及熊本日日新聞の単独スクープ以降、沖縄タイムスや琉球新報といった地方紙が追随して報道を行い、憲法学者の木村草太・東京都立大学教授らも法的批判を展開しました。一方で、東京の大手大手全国紙やテレビ局の多くは初期段階で追随取材を行わず、9月に入って朝日新聞が1面や社説で大きく取り上げるまで沈黙が続きました。国の機関による違法な情報収集や監視活動は、他人事ではなく国民一人ひとりの人権と民主主義に関わる重大事象です。取材の壁や政府の回答拒否に屈することなく、報道機関が継続して追及していくことが求められています。まとめ法の支配を掲げる日本において、軍事組織が独自の判断で市民の思想やプライバシーを調査・保管することは決して許されません。政府と防衛省には、徹底的な調査と事実関係の公表、そして再発防止に向けた文民統制の再確立が強く求められています。出演:元RKKアナウンサー・宮脇利充さん/聞き手:江上浩子(RKK)
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