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今夜のゲストは、inaho株式会社で“アグリコミュニケーター”として活躍する藤井智大さん。農家さんとエンジニアの間に立ち、「本当に現場で役立つAIロボット」を作るために奔走している人物です。番組は“魂とAI”という哲学的なトークから始まり、そこから自然な流れで“AIと畑のリアル”へ。藤井さんが所属する inahoは、農作業の省力化・自動化を目的としたロボット開発企業。特徴は、ロボットを「必要な性能だけを満たす合理的な設計」にすること。農業現場は土・湿気・埃・日射など過酷な環境のため、産業用ロボットのような数百万円のアームを持ち込んでも、壊れてしまえば修理費が現場の負担になる。だからこそinaho は、市販パーツを組み合わせた“壊れても直しやすい”ロボットをつくり、「農家さんが本当に使えるもの」を最優先にしているのです。たとえば“収穫ロボット”。アスパラガスは「長さ」で成熟度を判断し、トマトは「赤色の度合い」+「茎の形状」で“今が収穫すべきか”を判断。AIは万能ではなく、むしろ「使う場所を見極めて活かす」ことで初めて現場で機能する──その思想がinaho の開発哲学。導入事例では、背伸びしながら行う“葉かき作業”を、座ったまま行える移動式代車の導入により「6人がかり →3人でOK」に減った例も。足腰に不安がある人でも作業しやすくなり、「働く人の選択肢」を広げる技術としても期待されているそうです。藤井さんが語った“最終形”は、農場そのものを ロボット前提で設計する“ターンキー型農場”。従来の大型ハウスでは100人規模の従業員が必要とされる一方、周辺地域に労働人口が足りないケースが多い。もしロボットを軸に設計すれば、必要人数が大幅に減り、余ったスペースを生産面積に回せる。結果として「同じ土地で収量が大きく増える」未来が見えるといいます。そして話題は“日本の農業のこれから”へ。2050年には農業経営体が約85%減るという衝撃的な予測。気候変動も重なり、放っておけば“食料が足りない国”になる可能性もある。その危機感の中で、藤井さんは国の支援制度にも携わりながら、「現場の人が導入しやすいAI」をどう普及させるかを考えているとのこと。藤井さんの語る姿勢は、“夢の技術”よりも“今日の現場が助かる仕組み”。農業の未来が少し重く感じられるテーマでありながら、話しぶりはとても軽やかで、希望を感じさせる時間となりました。
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鷹の爪団の人工知能ちょっと来い!~AIを使って世界征服じゃ!~