9分
終活を仏教の視点で見直します🔶終活の目的を整理します終活は、人生の終わりに向けて準備する活動です。残される人への負担を減らし、自分自身の不安を和らげ、人生の集大成を整える時間でもあります。🔶終活で整える主な項目物や人間関係の整理(片づけ、連絡先の整備)財産の整理(相続・生前贈与・口座や保険の確認)医療・介護の意思表示(延命の可否、在宅/施設の希望など)葬儀・埋葬の方針(形式・喪主・菩提寺・お墓/納骨堂/合葬墓/散骨 など)書面の準備(エンディングノート、遺言書)🔶変わる葬儀・お墓のかたち家族葬、直葬、1日葬など多様化が進み、墓所も合葬墓や納骨堂など選択肢が広がっています。背景には、同居の減少や住居事情(仏壇を置きにくい間取りなど)といった社会構造の変化があります。🔶「伝える」終活――情報共有が要です菩提寺(ぼだいじ)の所在・連絡先、先祖の墓所・納骨先葬儀社の希望、喪主・連絡リスト、形見分けの意向エンディングノートに書くだけでなく、家族と対話して共有しておくことが大切です。書面に残らない「経緯・思い」も会話で伝わります。🔶浄土真宗から見た核心――『白骨の御文(はっこつのごもん)』蓮如上人(れんにょ しょうにん)の『御文(=本願寺派では『御文章(ごぶんしょう)』)』は、いのちの無常を静かに示します。「朝には元気な人が、夕べには白骨となる身」――だからこそ、阿弥陀如来(あみだ にょらい)の救いに遇(あ)い、念仏を申す道を聞き開いていくことが肝要だと説きます。終活は手続きや物の整理にとどまらず、「いのちの行方」を聞き、今を生き直す仏縁の機会でもあります。🔶実践のヒント(チェックリスト)菩提寺・墓所・過去帳の確認/連絡先を家族で共有した医療・介護・葬儀の希望を書き出し、家族と話し合った財産目録・重要書類の所在を一箇所にまとめたエンディングノートと遺言書(必要なら公正証書)の使い分けを理解した仏事の基本(枕経・通夜・葬儀・年忌法要の流れ)を菩提寺に相談した仏さまの教えを聞く場(ご法話・報恩講など)に足を運ぶ予定を入れた🔶今週のまとめ終活は「残すための整え」と同時に、「今を生き直す学び」です。社会の変化で葬送の形は多様化。だからこそ情報共有と対話が重要です。浄土真宗の要は、無常に目覚め、阿弥陀如来の救いを聞き開くこと。手続きの準備と、ともに歩む心の準備を両輪にしましょう。🔴次回のテーマは「クリスマス・イブに寄せて」です。どうぞお楽しみに。お話は、熊本市中央区京町(きょうまち)にある仏嚴寺(ぶつごんじ)の高千穂光正(たかちほ こうしょう)さん。お相手は丸井純子(まるい じゅんこ)でした。
詳細情報を見る
高千穂さんのご縁です。