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大規模な地震災害の発生直後、避難所の管理・運営現場では食料や水、寝床、空調の確保といった緊急対応に追われます。しかし、そうした混迷を極める状況だからこそ、「多様性を尊重し、あらゆる人を取り残さない避難所運営」という視点が欠かせません。元RKKアナウンサーの宮脇利充氏が、内閣府の「避難所チェックシート」の活用法や、熊本地震から10年を経て語られた「子どもたちの切実な葛藤」について解説します。聞き手はRKKの江上浩子です。🔷 「誰も取り残さない」避難所作りの指針――内閣府「避難所チェックシート」とは災害発生時、熊本県や熊本市のホームページにも掲載される内閣府(男女共同参画局)の「避難所チェックシート」は、避難所における配慮や運営のあり方を具体的に点検するためのツールです。プライバシーや衛生面の配慮に加え、特に重視されているのが「運営体制」と「運営ルール」の改善です。▶ プライバシー・衛生面への配慮授乳室やオムツ替えスペースの確実な設置女性用トイレの数量確保(男性より多めに配置)や、女性用品の配置ピクトグラム(絵文字)や「やさしい日本語」による分かりやすい部屋表示▶ 運営体制と代表性の確保避難所の運営責任者に「男女双方」を配置する要介護者、乳幼児連れの保護者、中高生、外国人など、様々な立場の代表者を運営組織に参画させる▶ 公平な運営ルールの設定炊き出しや清掃、トイレ掃除などの負担が特定の性別(女性)に偏らないよう、男女問わず全員で分担する🔷 能登半島地震でも繰り返された「固定的な性別役割分担」の課題なぜ、こうしたチェックシートによる意識改革が必要なのでしょうか。2024年1月に発生した能登半島地震の避難所でも、過去の災害同様の課題が浮き彫りになりました。平時から「男性がリーダー、女性がサポート役」という固定的な性別役割分担意識が強い地域や自主防災組織では、混乱する災害時にその習慣がそのまま避難所運営に持ち込まれてしまいます。その結果、以下のような問題が発生しました。トイレ掃除や炊き出しの負担が女性に集中する運営スタッフが男性ばかりであるため、女性が生理用品などの支援物資を受け取りづらくなる運営のトップやスタッフに女性や多角的な視点を持つ人を配置することは、避難者全員の尊厳を守るために不可欠な要素です。🔷 熊本地震から10年――語られ始めた「子どもの静かな声」今回のチェックシートで「中高生など若者も運営メンバーに加える」という点が提示されている背景には、災害時に子どもや若者の声が置き去りにされてきた歴史があります。熊本市男女共同参画センター「はあもにい」が2026年3月に発行した情報誌『はあもにい』第99号では、「熊本地震から10年、子どもの静かな声に学ぶ、誰も取り残さない防災の形」と題した特集が組まれました。2016年の熊本地震当時、小・中学生だった若者たちが大人になり、当時の葛藤を語っています。当時15歳(現在24歳・女性):「プライバシーがなく、女性用のお風呂に高学年の男の子がお母さんと一緒に並んでいるのも嫌でした。違和感を抱きつつも、忙しそうな大人たちには決して言えませんでした」当時11歳(現在20歳・男性):「パニックになっている大人を見て、自分が不安を口にすればもっと混乱させてしまうと考え、静かに耐えていました」当時13歳(現在23歳・女性):「あまりの恐怖で県外の祖父母の家に避難しましたが、同級生が学校の片付けやボランティアをしているのを知り、自分だけが逃げてしまったと責めていました」大人たちが疲弊しパニックになる中、子どもたちは自分の感情に蓋をし、静かに痛みを抱え込んでいたのです。🔷 子どもを「守られるだけの存在」にしないために情報誌『はあもにい』の編集者であり、防災士・消防団員でもある榊育代氏は、若者たちの証言を受けて次のように記しています。「10年前、被災した若者たちが胸の奥に閉じ込めていた言葉。そこには、非日常と向き合う大人たちの不安を察して、自分の感情に蓋をせざるを得なかった子どもたちの切実な姿がありました。まずは子どもを守られる存在としてしっかりと認め、性別や年齢による役割にとらわれず、一人ひとりの尊厳や小さな声をわがままと切り捨てない気持ちが、安心できる環境へと繋がっていきます」子どもや若者を単なる「保護対象」や「手伝い要員」として扱うのではなく、一人の当事者としてその意見を聞き、運営プロセスに巻き込んでいく姿勢が求められています。🔷 まとめ:性暴力・DV防止と公的窓口の活用避難所という非常時・密閉された空間では、性暴力やセクハラ、DV(ドメスティック・バイオレンス)のリスクも高まります。こうした被害に遭遇した、あるいは見かけた場合は、決して口をつぐまず、設置された公的な相談窓口や専門機関へ速やかに相談することが重要です。一人ひとりの多様な視点を避難所運営に反映させることが、誰もが安全・安心に過ごせる避難生活への一歩となります。出演:元RKKアナウンサー・宮脇利充さん/聞き手:江上浩子(RKK)
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