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新年最初の放送は、海の卸売を担う「大海水産株式会社」(熊本市・くまもと田崎市場)で働く幼なじみのゲスト、豊増琢真さんを迎え、「海と仏教」を語りました。仏教には海をめぐる二つのイメージがあります。ひとつは尽きない迷いを示す煩悩の海。もうひとつは、限りなく広がる阿弥陀如来の大いなる慈悲をたたえる海。相反するようでいて、実は同じ海の比喩であり、清濁を抱きとめる大きなはたらきの中に、迷いも救いも包まれていくと考えます。🔶田崎市場から食卓へ——“いのち”を受け渡す現場大海水産は熊本の台所・田崎市場で、県内外や海外から届く魚介を見極め、飲食店や家庭へ届けています。豊増さんの実感として、近年は海水温の上昇により水揚げの時期や漁場のずれが目立ち、北海道でブリが上がるなどの変化も体感しているとのこと。漁師が命がけで獲った魚を預かり、消費者に手渡す——現場はいつも“いのち”の重みと向き合っています。🔶海を守ることは、いのちを守ること海洋プラスチック問題など、海の環境悪化は魚の生存そのものを脅かします。会社としては寄付や行政との連携に取り組み、廃棄物の抑制や啓発にも協力。仏教が説く「私たちは他のいのちに生かされている」という視点に立てば、環境保全は信仰や倫理の実践とも重なります。🔶「いただきます」の意味をもう一度パックの切り身の向こう側には、海のいのち、漁の危険、流通の労苦、数えきれない人の手があります。「いただきます」は、その総体へ向けた感謝の言葉。仏教の言葉でいえば、煩悩の海を生きる私が、慈悲の海に照らされて「いのちの縁」をいただく営みです。🔶今日のひとこと広大な海に生かされる私たち。迷いも救いも同じ大海に抱かれている——そう受け止めると、目の前の一皿が少し違って見えてきます。🔶今週のまとめ海は迷いの比喩でもあり、慈悲の比喩でもあります。田崎市場の現場から見える環境変化は、海を守る責任を私たちに突きつけます。「いただきます」は、いのちの受け渡しに対する感謝の宣言です。来週は「いのち」をさらに掘り下げます。どうぞお楽しみに。お話は、熊本市中央区京町(きょうまち)にある仏嚴寺(ぶつごんじ)の高千穂 光正(たかちほ こうしょう)さん。お相手は丸井 純子(まるい じゅんこ)でした。
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高千穂さんのご縁です。