「真の連携」とは化学変化を起こすこと――阿蘇オフラインキャンプから田中慎一朗校長が考える、子どもを育む協働のあり方

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「真の連携」とは化学変化を起こすこと――阿蘇オフラインキャンプから田中慎一朗校長が考える、子どもを育む協働のあり方

スマートフォンやSNS、ゲームから離れ、大自然の中で過ごす1泊2日の「阿蘇オフラインキャンプ」。ゲーム依存や様々な生きづらさを抱える子どもたちを支援するため、熊本県内の医療機関などが垣根を越えて集い、今年で4回目の開催を迎えました。このキャンプの立ち上げにも携わった熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長が、現場で見えた大人たちの姿と、学校・家庭・地域にいま求められている「真の連携」の本質について解説します。聞き手はRKKの江上浩子です。医療機関の垣根を越えた協働――大人自身が心から楽しむ空気感阿蘇オフラインキャンプは、向陽台病院(熊本市北区)や玉名病院(玉名市)をはじめとする複数の医療機関が中心となり、医師や看護師、作業療法士、公認心理師、学生ボランティアらが力を合わせて継続している取り組みです。参加する子どもたち1人に対して大人3人ほどが寄り添う手厚い体制の中、沢登りや焚き火といった各アクティビティを病院ごとに分担して企画・運営しています。本来であれば民間の競合関係とも言える医療機関同士ですが、現場では組織の枠組みを超え、スタッフ同士が活発にコミュニケーションを交わしていました。焚き火でマシュマロを焼く場面では、スタッフが規格外に長い串を持ち寄っておどけ、周囲のスタッフに無茶振りをして大人同士で笑い合うなど、まず大人自身が心から楽しむ空気が生まれていました。子どもたちはその様子を笑顔で見守り、肩肘を張らない安心できる場が自然と形作られていました。単なる「情報共有」は本当の連携ではない教育や福祉の現場では、「学校と家庭の連携」「地域との連携」という言葉が頻繁に使われます。しかし田中校長は、形式的な会議を開き、互いに情報を交換して「課題を共有しました。あとはそれぞれの持ち場で対応しましょう」と終わるだけの関係は、本来の連携とは言えないと指摘します。情報をやり取りしただけで関係者自身に何も変化が起きていないのであれば、それは単なる連絡業務に過ぎません。連携の神髄は「双方に起こる化学変化」田中校長が考える真の連携とは、異なる立場が交わることによって「双方に化学変化が起こる」ことです。学校と家庭の連携における化学変化学校が家庭と真摯に向き合い協働することで、教室の中だけでは見えなかった子どもの日常や、保護者が抱えている切実な悩み・苦しさに教員が気づきます。その気づきを通じて、学校の教育活動や教員の関わり自体の質や意味合いが変化していきます。同様に、家庭側も学校の意図や教員の関わり方を知ることで、家での子どもへの接し方に新しい視点が生まれます。支援者同士における化学変化オフラインキャンプの現場でも、異なる病院のスタッフが机上のケース会議ではなく実際の活動を共にする中で、「あんなアプローチがあるのか」「こういう声のかけ方もあるのか」と互いの実践から学び合っていました。現場で得た刺激を持ち帰ることで、それぞれの病院に戻った後の支援スタイルやケアの質が進化していきます。子どもを取り巻く環境を豊かにするために他者や異業種と連携した際、自分自身に何らかの化学変化が起きているか。もし何も変わっていないとすれば、その関わり方を見つめ直す必要があります。たとえ「このやり方は自分たちには合わない」と判断したとしても、それ自体がひとつの変化であり、関わりを止める理由にはなりません。単独の組織や家庭だけで子どもを抱え込むのではなく、多様な大人が垣根を越えて協働し、互いに影響を受け合いながら変化していく。そうした豊かな相互作用が広がることで、子どもたちが安心して自己を育み、生きる力を取り戻していける環境が社会全体に育まれていきます。出演:熊本市立出水南中学校校長・田中慎一朗さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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