県が出したダム広告は「ミスリード」か?――川辺川ダム建設をめぐるデータと事実の不一致を問う

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県が出したダム広告は「ミスリード」か?――川辺川ダム建設をめぐるデータと事実の不一致を問う

今回のテーマは、熊本県が2026年2月に掲載した「川辺川ダム建設」に関する大規模な新聞広告をめぐる波紋です。新年度が始まった4月16日、この広告の内容に根拠がないとして、市民団体が県に抗議を行いました。宮脇利充氏は、税金を使った広報の在り方と、県が提示するデータの正確性に強い疑問を投げかけます。🔶 税金で「議論の割れる主張」を一方的に発信していいのか問題となっているのは、2026年2月21日付の熊本日日新聞に見開き2面で掲載された熊本県のカラー全面広告です。「住民の命と地域の宝である清流を守る」という見出しで、ダムの予想完成図や治水効果を強調するグラフが多用されていました。原資は税金: 議論が真っ二つに割れている事業について、税金を使って一方の立場(行政)を正当化する手法には、公平性の観点から慎重であるべきです。ミッションか世論誘導か: 県は「分かりやすく伝える義務がある」と考えますが、それが正確な事実に即したものでなければ、読者を誤った方向へ導くことになりかねません。🔶 2020年7月豪雨の「真実」との食い違い広告では「ダムがあれば被害を防げた」という趣旨の説明がなされていますが、宮脇氏は市民団体による詳細な調査結果をもとに反論します。「令和2年7月豪雨で亡くなった50人の方々の死因を市民団体が調べたところ、そのほとんどは球磨川本流がピークに達する数時間前に起きた、支流の氾濫や斜面崩落が原因でした。県はこの事実関係を自ら調査しておらず、反論できないはずです」雨量の実態: 当時、川辺川ダム建設予定地の上流部にはそれほどの雨は降っておらず、仮にダムがあったとしても結果は同じだった可能性が高いとされています。「ブレンク」の12年間:ダム計画が中断していた期間に本来やるべきだった「田んぼダム」などの流域治水対策が手つかずだったことが、被害を招いたという側面も無視できません。🔶 「データはない」という国交省――置き去りにされる環境への影響県が進捗を確認するために開催している「進捗を確認する仕組み会議(第4回)」でのやり取りからも、行政側の準備不足が露呈しています。環境への懸念:自然観察指導員熊本県連絡会の鶴翔子氏が「水温の変化がアユやエサとなる珪藻類に与える影響のデータ」を求めた際、国交省の担当者は「今はデータを持ち合わせていない」と回答しました。砂防ダムの問題: 本体のダム湖に土砂を入れないために建設される無数の砂防ダムが、河川を分断し生態系に致命的な影響を与えるリスクも指摘されています。🔶 今日ここを持ち帰る:行政広報に飲み込まれない5つの習慣「広告」と「記事」を区別する: 行政が出している広告は、あくまで「その組織の立場」からの主張であることを念頭に置きます。死因や雨量などの「一次データ」を疑う: 「ダムがあれば防げた」という結論だけでなく、具体的な被害のタイミングや場所がどうだったかを確認します。「不都合な事実」の有無をチェック: メリットだけでなく、環境への悪影響や過去の不作為(流域治水の遅れ)が語られているかを見極めます。「共同検証」の拒否に注目: 熊本県知事が市民との共同検証を「有識者の見解を否定することになる」として拒否した姿勢など、対話の拒絶がないかを注視します。「データ持ち合わせず」の意味を知る: アセスメント(環境影響評価)が不十分なまま事業が先行していないか、議事録などで担当者の発言を確認します。「データを持ち合わせていないのに、治水効果だけを強調する。その不誠実さが、市民の不信感を生んでいるのではないでしょうか」(宮脇利充)🔶 まとめ「住民の命を守る」という大義名分の下で行われる広報活動が、果たして多角的な議論を尊重したものになっているのか。宮脇氏は、行政が自分たちの都合に合わせた「物語」を作るのではなく、市民と共に痛みを伴う検証を重ねることこそが、本当の意味で未来に清流と安全を届ける道であると結びました。出演:元RKKアナウンサー・宮脇利充さん/聞き手:江上浩子(RKK)

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