【浄土真宗と聖徳太子(後編)】──親鸞聖人が仰いだ観音の化身

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【浄土真宗と聖徳太子(後編)】──親鸞聖人が仰いだ観音の化身

🔶親鸞聖人が「和国の教主」と讃えた聖徳太子先週に引き続き、「浄土真宗と聖徳太子」というテーマでさらに深くお話を伺います。日本仏教の恩人である聖徳太子は、浄土真宗の宗祖・親鸞(しんらん)聖人から「和国の教主(わこくのきょうしゅ)」、すなわち「日本におけるお釈迦さま」として深く敬われました。そのお徳を偲び、浄土真宗の寺院の本堂内陣(仏さまが安置されている空間の向かって右側)には、今も聖徳太子の絵像や木像が大切に掲げられています。親鸞聖人の生涯と聖徳太子の間には、聖人自身の歩みを大きく決定づける極めて深い結びつきがありました。🔶『皇太子聖徳奉讃』にみる慈悲の和歌親鸞聖人は、聖徳太子を称える多くの和歌(和讃)を残されており、それらは『皇太子聖徳奉讃(こうたいししょうとくほうさん)』として現代に伝わっています。その中の一首をご紹介します。「救世観音大菩薩 聖徳皇と顕現し 父のごとくに捨てずして 母のごとくに添うたもう」この歌は、「救世観音(くぜかんのん=観世音菩薩)が聖徳太子としてこの世に姿を現し、まるで実の父母が我が子を慈しむように、私たちを見捨てることなくいつも寄り添ってくださっている」という意味です。仏教において観世音菩薩は阿弥陀さまの慈悲の働きを助け、人々の苦しみを救う仏さまです。日本では古くから「聖徳太子は観音さまの化身である」という太子信仰が盛んでしたが、親鸞聖人もまた、太子の中に無限の慈悲を見出されていました。🔶六角堂での夢告とお念仏への導き親鸞聖人が阿弥陀さまの「お念仏のみ教え」に出会う大きな転機となったのも、実は聖徳太子とのご縁でした。聖人は9歳から20年もの間、比叡山で過酷な修行を重ねられましたが、自らの力で煩悩を断ち切ることができず深く悩まれました。そこで29歳の時、意を決して山を降り、太子にゆかりの深い京都の六角堂へ百日間の参籠(さんろう)に入られます。その95日目の暁、聖徳太子の化身である観音菩薩が夢の中に現れ、「示現(じげん)の文」と呼ばれるお告げを授けられました。その内容は、「自力で煩悩を断ち切ろうと苦しむのではなく、ありのままの自分を救い取ってくださる阿弥陀さまにお任せ(他力念仏)しなさい」という、進むべき道を示すものでした。この夢告をきっかけに、聖人は生涯の師である法然(ほうねん)上人のもとを訪ね、浄土真宗の基盤となるお念仏の道へと歩み出されたのです。🔶絵像や彫像にみる太子の真実の姿お寺に安置されている聖徳太子の姿は、私たちがよく知る旧一万円札の烏帽子姿とは異なります。仏教の世界で広く親しまれているのは、髪を左右でお団子のように結った「角髪(みずら)」姿で、「柄香炉(えごうろ)」という仏具を手にした16歳の頃のお姿(孝養像)です。これは、病の床に伏せった父・用明天皇の平癒を心から祈願し、仏法僧の三宝を大切にされた太子の至純な心を写したものです。また、わずか2歳にして東を向いて合掌し、「南無仏(なむぶつ=仏さまに帰依します)」と唱えられた瞬間の愛らしいお姿(南無仏太子像)など、関西をはじめ全国の古いお寺には多様な太子像が残されています。私たちの仏嚴寺にも、そうした歴史の重みを伝える尊い聖徳太子像が大切に受け継がれています。🔶日本人のDNAに息づく仏教の始まり仏教が日本に伝来した当初、それを国家として受け入れるべきか否かを巡り、物部(もののべ)氏(廃仏派)と蘇我(そが)氏(崇仏派)の間で激しい論争と対立がありました。聖徳太子はその対立を乗り越え、仏教の精神を政治と国づくりの根本に据えることで、日本独自の文化の礎を築かれました。もしこれが権力による力ずくの強制であったなら、1500年もの長い間、仏教が民衆に受け入れられ、受け継がれてくることはなかったでしょう。人々が苦しみから救われる道を第一に考えた太子の精神があったからこそ、仏教は日本人の生活や精神の奥深いところ(DNA)にまで溶け込んでいるのです。飛鳥・奈良・平安と時代を経て発展していく日本仏教のすべての始まりの場所には、いつも聖徳太子の温かいまなざしがありました。🔶今週のまとめ【1】親鸞聖人は聖徳太子を「和国の教主」「日本仏教の父」と仰ぎ、真宗寺院の本堂内陣には今も大切に太子の絵像が掲げられています。【2】聖人による『皇太子聖徳奉讃』の和歌では、聖徳太子を観世音菩薩の化身とし、親のように私たちに付き添う慈悲のお姿として讃えています。【3】比叡山での修行に悩んだ親鸞聖人は、六角堂の参籠中に聖徳太子(観音の化身)からの夢告を受け、法然上人のお念仏のみ教えへと導かれました。【4】太子像には、父の病気平癒を祈る16歳の「孝養像」や、合掌して南無仏と唱える2歳の「南無仏太子像」など、信仰に満ちた姿が伝わっています。【5】仏教伝来の論争を経て、太子がみ教えを政治と国づくりの根本に据えたからこそ、仏教は日本人の生活や心に深く根付くこととなりました。次回テーマは「仏教と七夕(たなばた)」です。どうぞお楽しみに。お話は、熊本市中央区京町(きょうまち)にある仏嚴寺(ぶつごんじ)の高千穂光正(たかちほ こうしょう)さん。お相手は丸井純子(まるい じゅんこ)でした。

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高千穂さんのご縁です。

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