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「会話」を「対話」へアップデートし、問題を乗りこなす力を育む熊本市立出水南中学校では、生徒たちが主体的に他者と関わり、新しい価値を創造する力を養う「出南(いずなん)タイム」という独自の取り組みを推進しています。この活動の核心は、単なる情報のやり取りである「会話」を超え、互いの考えが混ざり合うことで新しい発見が生まれる「対話」の実践にあります。田中慎一朗校長が語る、教育現場における「対話」の真意とその可能性について、RKKの江上浩子が詳しく話を伺いました。🔶 会話と対話は違う――「化学変化」が生み出す新しい価値出水南中学校が「総合的な学習の時間」を活用して取り組んでいる「出南タイム」は、自分の意見を広げ、深め、相手の考えに反応するスキルの育成を目指しています。田中校長は、本取り組みにおける「対話」を化学反応に例えて説明します。対話の定義: 対応することによって、新しい価値や化学変化が生まれるプロセスである。化学変化の例え:一方が「水素」という意見を持ち、もう一方が「酸素」という意見を出した際、それらが混ざり合って「水」という全く異なる物質が生まれるような状態を目指す。相互作用: 生まれた「水」にまた別の意見を掛け合わせることで、お互いに初期の価値観を超えた新しい価値を生み出し続ける。🔶 問題をゼロにするのではなく「乗りこなす」学校生活における人間関係の悩みや対立に対し、田中校長は問題を無理に排除するのではなく、その捉え方を変えていくことが重要だと説きます。問題の不可避性: 人と人が関わる限り問題は生じるものであり、ゼロにすることを目指すのではない。価値への変換: 対話を通じて問題の見え方を変え、そこから新しい価値を見出すことができれば、誰も不幸にしない解決が可能になる。生徒のニーズ: 実際に生徒たちから「友達との仲直りの仕方を知りたい」「傷つけずに自分の気持ちを伝える力を身につけたい」といった要望が上がっている。🔶 「行動」の裏にある「感情」と「ニーズ」へのアプローチ「出南タイム」では、熊本大学とも連携し、「紛争解決学」の知見を取り入れた模索が続いています。その中で大切にされているのが、生徒の表面的な「行動」だけでなく、その奥底にある「ニーズ」にたどり着く視点です。三層の構造: 人のコミュニケーションには「行動」「感情」「ニーズ」の三層がある。感情の正体: 行動(相手を傷つける、学校に行かない等)の裏には、寂しさや不安といった「感情」がある。ニーズの探求: 感情のさらに奥には「認められたい」「自分を知ってほしい」といった、満たされていない本質的な「ニーズ」が隠れている。対話の役割: 相手の話をまず聞くことでその「ニーズ」に触れ、そこからようやく自分自身の行動を見つめ直す「内省」が可能になる。🔶 まとめ:対話が培う「自ら成長する力」出水南中学校が進める「出南タイム」は、単なるスキルの習得ではなく、生徒一人ひとりが問題に主体的に関わり、自分と他者を見つめ直す「場」を提供しています。田中校長は、「問題について全員がそれぞれの立場で向き合う基礎体力がつけば、それは子どもたちが将来社会で活躍するための大きな力になる」と、その成長に強い期待を寄せています。出演:熊本市立出水南中学校校長・田中慎一朗さん/聞き手:江上浩子(RKK)
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