9分
変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)所長 東北大学災害科学国際研究所教授 須賀利雄先生
観測史上最強に迫るエルニーニョ現象をはじめ、従来の「常識」が通用しないような環境の変化に対して、海の生態系がどのように応答し、変化していくかを理解し、その予測を可能にすることは、水産資源の持続的な利用や海洋環境の健全性の維持のために不可欠です。私たちが呼吸している酸素の約半分が海洋生態系によってもたらされていることからも、これは明らかでしょう。しかし、エルニーニョ現象などの気候変動の物理学的な側面は、気象学や海洋物理学の物理法則によって理解され、予測が可能なのに比べて、生態系の変動予測についての研究は、まだ始まったばかりと言っても過言ではありません。物理的な因果関係だけでは、生態系変動の予測はできず、生物の生理学的応答や順応などを扱う必要があり、さらに、漁業活動が生態系に与えるストレスも考慮するなど、異なる学術分野を融合した研究が必要なのです。これを実現するために設立されたのが変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)です。東北大学と海洋研究開発機構が共同で運営するWPI-AIMECでは、分野を超えた議論を重ね、海洋生態系変動の予測可能性を追求する研究が本格化してきました。分野融合研究の拠点となる建物も青葉山で建設が始まり、2028年秋に完成する予定です。市民の皆さんにも開かれた研究拠点として、公開スペースを充実させるつもりです。ご期待ください。
SUNDAY MORNING WAVE